2022年3月25日

UI/UXデザイン

カスタマージャーニーマップの書き方

UXデザイナー / PM

カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーマップとは、カスタマー=「顧客」が、サービスや商品と関わっていく過程でどういった行動を取り、どう考え、どんな感情を抱きながらゴールまで辿り着くのか、ユーザーの行動・感情を時系列で可視化するフレームワークのことを指します。
そのため、ユーザーの行動を軸に、環境的要因や心理的な反応を時系列で表現することが可能です。特に複数のタッチポイントをまたぐ体験の連続性に着目し、その過程で起こる様々な出来事について、行動・認識・思考・感情などユーザー体験の理解に密接に関わるコンテンツの詳細を明らかにすることが期待できます。また一枚の図に書くことで、チームメンバー間の認識齟齬を防ぎ共通認識を持つことにも有効的です。

なぜ使用するか

通常、プロジェクト初期にペルソナを作成し、ユーザーの理解を進めることが多いかと思います。しかし、ペルソナでユーザーに対する理解を深めたとしても、そのペルソナが実際にどのような行動をとり、どのような感情を抱いてゴールにたどり着くかまでは整理することは困難と言えます。時間軸に沿ってユーザーの感情及び体験を整理したいと考えますよね。そこでカスタマージャーニーマップを使用しましょう。
カスタマージャーニーマップでは、時間軸に沿って体験前後のユーザーの感情の変化を整理・分析することができます。

注意点としては、前述の通りカスタマージャーニーマップはユーザー行動・感情に主軸を置いているツールのため、カスタマージャーニーマップの記載で完了としてしまうとサービスの理想論で終わってしまう可能性もあります。そのため、カスタマージャーニーマップ記入後にはサービスブループリントを使用し、機能面からもサービスを考えていくことで、ユーザーに寄り添いつつもより現実的なサービスを検討することが期待できます。

2022-03-10
本記事は、2022年3月10日に公開された記事を再編集し、2024年10月25日にin-Pocket編集部により情報

使用メリット

カスタマージャーニーマップを使用することで以下のメリットが考えられます。

  • ユーザーの体験価値の向上
    カスタマージャーニーマップを使用することでユーザー体験の全体像を示すことができます。それによりサービスの改善点を検討しやすくなるとともに、サービスが目指すユーザー体験を再度検討する手助けになるでしょう。カスタマージャーニーマップは、ユーザーをより深く理解するためにペルソナ設定では足りない要素を補完してくれるフレームワークです。
    顧客の行動分析をもとに感情・思考・不満などを細かく可視化できるため、具体的な課題とその解決策の発見に繋がります。結果として、ユーザーへの理解や知識も深まり、より質の高いサービスや製品を提供でき、ひいてはユーザーの体験の向上につながる。

 

  • チーム内で共通理解を促進
    一連のユーザー体験の全体像をプロセスだけでなく、ユーザーの行動や感情を含め視覚化することで、時間軸の観点からユーザー体験を整理し、チーム内で共有し認識を合わせることができます。作成の際、ひとつの部門のメンバーに限らず複数部門のメンバーで議論することで、偏りなく様々な観点で検討することができ、また認識齟齬を防ぐことにも効果的と言えるでしょう。

作成時のポイント

実際にカスタマージャーニーマップの作成時にあたり、以下の点に留意して作成することが重要となってきます。

  • ペルソナの設定
    カスタマージャーニーマップの作成に入る前に、まずはペルソナを設定してあげる必要があります。ペルソナ作成時には、ペルソナ対象の詳細性格や趣味趣向などを徹底的に考えて作り込むことが重要となってきます。この精度がカスタマージャーニーマップのクオリティを大きく左右し、ここでずれると論点もずれてくる可能性があるため詳細に考えて設定する必要があります。イメージが持ちにくい場合などは、現状のユーザーからアンケートなどの調査を行ってから書き起こすとより具体化しやすいでしょう。
    加えてペルソナ作成時にはシンプルでわかりやすいゴールを設定してあげましょう。ここでいうゴールは、サービスによってユーザーがどんな着地点に終着するかを検討します。最初に複雑なゴール設定をしてしまうと、後続のカスタマージャーニーマップの作成に時間がかかり、その後の工程が鈍化する可能性があります。シンプルに設定することで作成進行がスムーズになると同時に、チーム内で認識を合わせやすくなります。

  • AS-IS/TO-BEの整理
    新サービスを検討する上でTO-BEの検討に目が行きがちですが、必ずAS-ISの整理から実施することが重要となってきます。まず現状を整理(AS-ISの整理)した上で、課題を洗い出すことに注力してみましょう。その上でTO-BEを整理することで、現状の課題の解決策をも念頭にTO-BEを検討することができるため、現状との一連の繋がりを持つことができ、サービスの意義や目的を改めて理解した上でサービスに落とし込むことに有効です。

  • 複数人での作成
    カスタマージャーニーマップ作成時に、部署を横断したチームメンバーで取り組むことで、サービスを多角的に検討することができます。一般的にはカスタマージャーニーマップはデザイン部署よりのツールと言えますが、限定的な部署のみで作成すると偏りや検討不足も生じうるでしょう。異なるポジションや役職のメンバーで作成することで新たな気付きなどもあり、より掘り下げて作成することが期待できると言えます。

  • ブラッシュアップの実施
    カスタマージャーニーマップは1度書いて終わりではなく、何度も追記・修正を加えることでよりサービス及び顧客への理解を深めることができます。後続フェーズでペルソナ像に新たな気付きなど変更点が見られた場合、柔軟にカスタマージャーニーマップも修正・ブラッシュアップすることで、整合性がより担保されユーザー目線に立った作り込まれたサービスを検討することができるでしょう。


<記入例>
出前のサービスを例にカスタマージャーニーマップを使用して記入例を挙げています。記入例のようにカスタマージャーニーマップを記載することで、時系列に沿ってユーザーの行動及び感情を整理することができ、そこから現状の課題も洗い出すことができます。

上記で説明させて頂いたカスタマージャーニーマップの
テンプレートを
ダウンロードいただけます。
 

サマリ

今回、カスタマージャーニーマップの書き方について説明させていただきました。カスタマージャーニーマップ を使用することで、以下のメリットを期待できることが特徴かと思います。

  • カスタマージャーニーマップを使用することで、ユーザーの体験・感情を時系列で整理することができる
  • 様々なポジションの人たちで書き進めることでチーム内の共通認識が促進できるとともに、ブラッシュアップしていくことでより顧客体験の向上を見込むことができる

本記事が皆様の理解の一助となれば幸いです。

 

▶︎in-Pocket編集部より
アイスリーデザインで実施しているUI/UXデザインにおけるサービスの特徴、手法や関連事例などについては、
こちらをご覧ください。

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