こんにちは。
アイスリーデザイン、マーケティング部インサイドセールスの梅津です。
お客様とお話しする中でよく出てくるキーワード「データ経営」。企業がDXを進めていくうえでデータ経営は重要なキーワードになっています。DX戦略の目玉として中期経営計画に頻繁に登場する言葉ですが、そもそもどのようなものなのでしょうか。
目次
データ経営がなぜ重要なのか
データ経営とはあらゆるデータを収集・分析して、その分析結果に基づいて業務改善や新規事業の立ち上げなど経営の意思決定をすることです。
これまで経営の判断をする重要な場面において、経営者もしくは役職者の勘と経験で意思決定が行われてきたケースも多かったかもしれません。
しかし、VUCA時代といわれるように現在は未来の経営を予測するのは非常に困難です。さらにオンラインマーケットやサブスクリプションサービスなど販売チャネルや販売形態の多様化に伴い、消費者のニーズも多様化し、新たな観点での需要予測も必要になってきています。
このように少し先の未来も予測しづらくなっている状況においては、個人の勘と経験という不確実な要素に依存せず、確実性のあるデータに基づく客観的な根拠が経営判断をするうえで求められるようになっています。
また、デジタル技術やAIの進歩により、複雑なデータの組み合わせによる高度な分析が可能になったことも、データ経営の普及を促しています。
DXとの関連性
DX戦略の一つとして掲げられることの多いデータ経営ですが、DXとデータ経営には密接な関連性があります。
経済産業省はDXをこのように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」 。
つまり簡潔にまとめると、デジタル技術を活用して最終的に組織変革による企業成長を目指すということになります。
DXを推進していく過程において、デジタル技術を活用したデータ分析は必須といえるでしょう。またビジネスモデルや組織の変革をしていくうえでデータ経営の視点は不可欠になってきます。要するにDXにはデータ経営の考え方が内包されており、データ経営なくしてDXは進まないとも言えるでしょう。
また、データ経営とDXが最終的に目指すべき方向性は経営改善や組織変革なのですが、「データ分析やデジタル化と一緒でしょ?」と単なる方法論と混同されがちです。データ分析やデジタル化は手段にすぎず、最終目的地に向かうまでのステップでしかないことを忘れてはいけません。
データ経営を進める前の土台作り
データ経営の礎を築く際に留意すべき重要なポイントが2つあります。それは、「社員の意識改革」と「組織体制の変革」です。これらはデータ経営の基盤構築としてだけでなく、データ分析と同様に極めて重要なプロセスと言えます。
社員の意識改革
データ経営の導入がトップダウンで進む際、まずデータ分析を行うチーム作りから取り掛かる企業が多いのではないでしょうか。優秀な若手社員を集め、データ分析のノウハウを教育、もしくは外部からデータサイエンティストといった専門家を採用し、データを収集、分析することで、経営判断に活用できそうな分析結果が出てきたとします。
しかし、その分析結果は果たして現場サイドの求める業務改善に直結するようなデータといえるでしょうか?もしくは新たなビジネスモデルを実現するための画期的なデータといえるでしょうか?まずデータ分析のチームを新設するという入口から入った企業は、おそらくこの時点でせっかく手間をかけて分析した結果がなぜかビジネスの場で活かされないというつまずきを経験するはずです。
この問題を解決するにはまず、社員の意識改革から始めなければなりません。データ経営に限らず、新たな経営方針を掲げる場合、その方針の本来の目的や重要性を社員が十分に理解していない状態で施策を走らせてしまうケースはよくあることです。そのような状態では、施策を実行する部隊(データ分析チーム)とその他の部署の社員(現場サイド)の意識はどうしてもギャップが生まれてしまいます。
データ収集というプロセスにおいては、現場担当者の協力が不可欠です。部門ごとのデータ分析にとどまらず、組織横断でデータを連携し、総合的に活用することがデータ経営の成功には必要なのです。
組織体制の変革
さらに分析したデータを活用し、ビジネスモデルの変革を目指す場合、現在の組織体制が最適なのか考え直す必要があります。例えば、データ経営によりビジネスモデルを変革させた最も有名な企業の一つであるNetflixの事例で説明しましょう。
Netflixは映画の郵送レンタルという事業からオンラインの動画ストリーミングサービスへと大きくビジネスモデルを変革させ、企業価値を高めることに成功しました。動画ストリーミングサービスを戦略的に普及させるために、視聴データを徹底的に分析し、各ユーザーに最適化したサービスの提供を行うなど、データ経営の考え方が事業拡大において重要な役割を果たしてきたことは言うまでもありません。
同時に組織体制を柔軟に変えていく文化も持ち合わせています。他社との差別化を図る目的で自社制作に力を入れ、プロデューサーやクリエイティブディレクターなど、コンテンツ制作に特化したポジションを新設し、経営判断をより効果的に実行できる組織体制を確立しました。
このようにビジネスモデルの変革をはかるうえでは、その効果を最大化させるため柔軟に組織体制を変更していくことも必要です。データを全社的に連携し活用していくためには、縦割りの組織を脱することが不可欠です。
データ経営の実践ステップ
では実際にデータ経営を進めるうえで必要になってくる具体的なステップはどのようなものでしょうか。
- 問題と課題の整理
データ分析の作業を本格的に始める前に、データ分析で何を解決するのか、この定義を明確にすることが何よりも大切です。この根幹の部分が定まっていないとどんなに精度の高いデータ分析でも実際のビジネスにおいて有益な情報にはなりえません。 解決したい問題の発見、課題の抽出、課題を解決するための具体策としてデータ分析で何を導き出すのか、これらのプロセスを踏んでシナリオを論理的に組み立てます。 - データの収集
社内に蓄積されているデータを集約していくプロセスです。顧客情報や在庫数、売上データなど各部署に点在するあらゆる情報を網羅的に収集することにより、分析結果の精度を高めることができるでしょう。効率的なデータ収集のためにデータを一元管理できるシステムを導入し、体制を整えていくことも重要です。 - データの可視化・分析
収集した膨大なデータを可視化していきます。BIツールなどを活用し、図表やグラフに落とし込むことによって課題把握が容易になります。データは収集するだけでは意味を持ちませんが、見やすく整理されることで経営判断に活かせる分析結果に変わります。 また、データアナリストやデータサイエンティストといった専門人材がいれば、コンサルタントとしての視点を取り入れた、目的に応じた高度な分析結果が得られるでしょう。 - アクションプランの立案・実行
データ分析の結果に基づいてアクションプランを策定します。データ分析は手段に過ぎませんが、アクションプランの策定・実行が経営改善を目指す上での鍵となります。 実施する際には結果の検証ができるよう環境の整備をしておくことも重要なポイントです。 - 結果の検証およびPDCAの継続的な運用
アクションプランを実行した後はその結果を検証し、課題が発見されれば施策を修正していくプロセスを繰り返し、最初に設定した問題の解決が達成されるようPDCAサイクルを回していきます。
まとめ
DXを進める上でデータ経営の視点は不可欠です。データ経営においては単なるデータ分析だけでなく、社員の意識改革や体制づくり、そして目的を見失わないことが重要です。データ経営の成功にはこれらの要素が一体となった総合的なアプローチが必要になります。
最後に
アイスリーデザインは、最新のAI技術の進化やモデルの陳腐化問題に対応し、適切な技術的ソリューションを提案する能力があります。また、ユーザー視点を重視したインターフェース設計やPoC開発の経験も豊富で、実用性の高いソリューションを提供いたします。
さらに、ビジネスの現場での実践的な経験を持つコンサルタントが、期待値の不一致やプロジェクトマネジメントの課題に対して、戦略的なアドバイスと具体的な解決策を提供します。これにより、ビジネス目標と技術的要求のバランスを取りながら、プロジェクトを適切に推進することが可能です。
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