2024年7月16日

テクノロジー

安易な導入はNG!?ノーコード・ローコードアプリ開発の落とし穴

Miyuki Tanaka

エンジニアではない人でも、簡単に手を出すことができるノーコードアプリ、ローコードアプリ。

ノーコードといえば、テンプレート通りのものが欲しいのであれば、エンジニアではなくとも、作成に数時間投下するだけで、すぐにアプリが手に入ってしまうほど、生産性の高い、非常に有用なツールです。

一方で、だからといって安易にノーコードアプリやローコードアプリを選択してしまうと、想定していなかったことに直面する可能性があります。

アイスリーデザインのマーケティング担当である私、田中が、今回はノーコードツール・ローコードツールを扱うにあたって気を付けなければならないことをまとめました。

文系非エンジニアの私からすると、私でも開発できるんじゃないかと夢想してしまうくらい魅力的なノーコードによるアプリ開発。落ちてしまうと元に戻るのに大変苦労する「落とし穴」という観点を通じて、導入前に改めて考えておきたいポイントを整理していきましょう!

ノーコード・ローコードとは?

ノーコードは、その名の通り、コーディングがいらないことを意味します。

1982年に出版されたジェームズ・マーティンの『Application Development Without Programmers』が最初とされています。つまり「プログラマーがいらないアプリケーション開発」を謳ったのが、きっかけとなったようです。

昨今のノーコードツールがよくアプリ開発等で見受けられることから認識が薄い可能性もありますが、WordPressもまた、一つのノーコードツールです。ノーコードは、完成しているテンプレートやパーツなどを組み合わせてWEBサービスを構築する、というものです。そのため、WordPressもまた、アプリの開発という側面ではなく、WEBサイトをテンプレートなどを通じて、簡単につくることのできる1つのノーコードツールといえます。

また、ローコードは、コーディングを最小限に開発することを指します。そのため、非エンジニアである筆者にはまだ難しい手法のようです。コーディングによって拡張することができるので、コーディングの知識を持っている人にとっては、こちらの開発(ローコード)が最適なのではないかと思います。

3つの落とし穴と回避方法

落とし穴その1:コスト

コストは注意すべき項目です。
ノーコード・ローコードでの開発の場合、よくあるのが「アカウント数の増加に従って、料金が雪だるま式に大きくなる」ことです。

初期導入費用は安く抑えられても、アカウント数が増えれば増えるほど金額が上がってしまうため、最初に「どれくらいの人数に対して展開する予定のアプリなのか」「はたして、それはノーコード・ローコードのアプリで実現可能なのか」この2点を明確にしておくことが重要です。その2点が明確になった際、フルスクラッチ開発、つまり、0からコーディングを行って、つくったほうが得であるという結論に結びつく可能性があります。

もしこの「コスト」という落とし穴にはまってしまった場合、どのタイミングでフルスクラッチ開発へと切り替えたら良いのかが難しいところです。フルスクラッチ開発に切り替えるにはそもそもの金額に加えて、さらに新規での制作費が加わるため、相応の覚悟が必要です。かといって、フルスクラッチ開発に切り替える決心がつかず、そのままでいたとしても金額は雪だるま式に増えていき、どんどん抜け出せなくなってしまいます。「どれくらいの人数に対して展開する予定のアプリなのか」「はたして、それはノーコード・ローコードのアプリで実現可能なのか」を明確にすることが落とし穴にはまらない鍵になってくると考えられます。

落とし穴その1:コストの図解です。

落とし穴その2:ツール

ツールの選定は、必須です。

ノーコードツールを使ったアプリ開発といえど、ノーコードツールは多種多様です。モバイル端末との連携が得意で業務管理をメインに打ち出しているところもあれば、ECサイト等販売が可能な機能を搭載したアプリの開発ができるところなど、様々です。

安易に「このテンプレート良さそうだからこの会社のツール使ってみようかな」と考えると落とし穴にはまります。アプリが出来上がったのちに、本来的に欲しかった機能が見つかり、それが搭載できなかった場合、下手するとつくり直しです。また、結局その機能が、まだノーコードでは実現が難しい機能かもしれません。ただただ時間とお金が浪費されていき、そこで生成、蓄積したコンテンツの移行方法も見つからず、結局、この落とし穴からの抜け出し方も、抜け出すタイミングもわからなくなってしまう可能性があります。

だからこそ、事前に本当につくりたいアプリやWEBシステムは、どんなものなのか、要件定義をしっかりと明確にした上で、必要であれば専門家にも頼り、適切なツール選定をする必要があります。

落とし穴その2:ツールの図解です。

落とし穴その3:提供企業依存

提供企業依存という言葉には、2つの意味があります。

1つ目は、ツールの拡張性についてです。

ツール選定の話とも似ているのですが、その企業が提供している範疇でのみ、対応が可能になるため、要望通りのアプリを必ずしも実現できるかでいうと、制限が発生します。ここだけは外せないところは何か、それは実現可能なのか、そういった視点で、見ていく必要があります。それは、直近だけを見据えるのではなく、中長期の視点を持つことが重要です。中長期的に、本当に必要としない機能なのか、をしっかりと判断しておかなければいけません。アプリを運用してしばらく経ったのち、必要な機能が増え、その対応ができず、結局アプリをつくり直すといった事態も考えられます。さらに、お客様情報や売上情報等アプリにまつわる情報をすべて移行し、コストはもう一度新しくつくり直したため、結局2倍以上の金額がかかってしまったということも起こりかねません。

2つ目は、ツールの「行く末」を押さえておく必要があるということです。

ツール提供企業が万が一倒産してしまった場合、そのツールがどうなるのか、といった観点でも、ツール提供企業を選定する必要があります。

倒産した場合、クラウドがオープンソースになるのであれば、安心して以降も使い続けていくことが可能ですが、その企業に依存している場合、提供企業とともに、アプリが消えてしまう可能性もなくはありません。少し、ベクトルは異なりますが、とある美容大手企業が倒産した際にも、今まで契約していたものが突然何も対応してもらえなくなったことが報道されたのは記憶に新しいかと思います。ソフトウェア、WEB周りにおいても同様のことは起こりえます。備えあれば、憂いなし。長く使い続けていくアプリだからこそ、どういった規定になっているのか、依存して共倒れ、なんてことが起こらないよう、しっかりと確認することが、落とし穴にはまらないための大切なポイントです。

まとめ

結論として、一度はまってしまうと抜け出すにはかなり苦労をする可能性がある落とし穴は意外と隠れておりますが、落とし穴にはまらないための対策はあります。最初に書かせていただいた通り、あくまで「安易な導入がNGである」だけであって、うまく利用できれば、ノーコードツールも、ローコードツールも導入障壁も低く、非常に有用なツールです。また、テンプレート通りのものが欲しいのであれば、すぐさまそのアプリが手に入ってしまうほどの生産性の高さが最大のメリットと言えます。だからこそ、きちんと、上記の落とし穴があることを認識したうえで、落とし穴にはまってしまわないように注意し、回避方法をとることが重要です。

また、回避方法は一貫して、最初の設計が要となっていきます。

すなわち、そもそもどんなアプリをつくりたいのか、中長期的な目線で考えて、アプリ開発を行うツールを選定することが重要です。

今回、私自身が「実際にノーコードツールを使って、アプリをつくってみた」という記事を作成した後に、作成しております。自分自身の実体験を通じて、見つけた落とし穴。本記事をご覧の皆様、上記対策をして、本当に必要とするアプリ開発の実現をしてください!

また、そもそも「どんなアプリをつくり、どんなことを実現したいのか、実現するべきか?」などについて、具体化をしたい場合は、是非、弊社にご相談ください。皆様の構想を実現するためのお手伝いをさせていただきます。

ノーコードツールではないですが、アプリ開発を行い、実証実験を受けて、壁にぶつかった企業様の事例もご紹介しております。アプリ開発を検討中であり、押さえておくべきポイントを事例を通じて知っておきたい方は、ぜひ、一度ご覧ください。 

Miyuki Tanaka

Miyuki Tanaka

元人事組織コンサルタント。2023年7月に株式会社アイスリーデザインにジョインし、マーケティング業務を担当している。

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