現代のビジネス環境において、顧客との接点を増やし、エンゲージメントを高めることは非常に重要です。その中でもプッシュ通知は、ユーザーにリアルタイムで情報を届ける強力なツールとして注目されていることは皆さんすでにご存じの通りかと思います。
最近はAIを活用して、顧客それぞれの行動に合わせたより正確なセグメンテーションをおこなうことも可能になってきました。本記事では、今だからこそ改めて知りたいプッシュ通知の概要から企業が導入するメリット、注意すべきポイント、そして具体的な活用シーンについて詳しく解説します。
目次
プッシュ通知とは?
プッシュ通知は、スマホやタブレット、PCといった端末に向けてアプリやWebブラウザを通して自動的に通知を送信できる仕組みです。送信されたメッセージは、タップによる開封やスワイプによる消去といったアクションが行われるまでの間、ロック画面やステータスバーに表示されます。個人情報を把握していない場合でも、ユーザーがプッシュ通知を有効にしていれば、アプリケーションやシステムを介してメッセージの送信が可能です。
基本的な機能としては、ユーザーの行動や好みに基づき、カスタマイズされた内容を配信すること、そしてリアルタイムまたは設定された時間に自動で情報を送ることができます。
プッシュ通知の種類:アプリプッシュとWebプッシュ
プッシュ通知はアプリを通した通知が一般的によく知られていますが、2015年頃からWebブラウザ経由で配信ができるWebプッシュも徐々に浸透してきています。
- アプリプッシュ通知:スマホアプリを通じて配信されるメッセージ。ブラウザよりもアプリの使用率が高い若年層に対して効果的なアプローチ。
- Webプッシュ通知:Webサイト訪問者に対し、ブラウザ経由で送られる通知。ECサイトや情報サイトなど幅広く活用が可能。
企業がプッシュ通知を導入する3つのメリット
顧客側には「最新の情報を取得できるリアルタイム性」や「別の作業をしていても情報を取得できる効率性」といったメリットがあります。一方で、プッシュ通知を導入する企業側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
- ロイヤリティの向上:プッシュ通知は、顧客と企業との間の接触頻度を効果的に高める手段です。顧客が関心を持ちそうな内容やお得な情報を定期的に提供することで、エンゲージメントを持続的に高めることができます。この定期的な情報提供は、顧客との関係を深め、信頼関係を築く基盤となり、結果として顧客のロイヤリティを強化することにつながります。既存顧客との長期的な関係構築という意味では、LTVの向上が期待できるでしょう。
- リアルタイムの情報配信:顧客としても嬉しい特徴であるリアルタイム性は、企業側にもメリットが大きく、プッシュ通知の最大の強みの一つと言えます。新しいプロモーション、限定セール、重要なイベントの告知などを、タイミングを逃さず顧客に届けることによって、機会損失を防ぐことができます。これにより、顧客は常に最新の情報を手に入れることができ、企業はマーケティングキャンペーンやイベントの効果を最大化することができます。即時性が求められる情報の配信は、顧客の関心を引きつけ、行動を促す上で非常に有効です。
- 1to1のマーケティング施策:プッシュ通知を通じて、企業は顧客の興味や過去の行動に基づくパーソナライズされたコミュニケーションを実現できます。顧客の購買履歴やアプリ使用状況から得られるデータを活用し、個々に合わせたメッセージやオファーを送ることが可能になります。このアプローチにより、顧客は自分に合った情報を受け取ることができ、エンゲージメントの向上が期待できます。さらに特定の期間、アクションを起こしていない顧客を対象に、魅力的なオファーや最新情報、パーソナライズされたメッセージを送ることで、関心を再び引き付け、休眠ユーザーの復帰促進につなげることもできます。
こんな使い方も?具体的な活用シーン
プッシュ通知は、ECサイトやショッピング系アプリ、会員向けサイト/アプリ、ニュースや天気予報アプリ、ゲームアプリなどあらゆる用途で活用することができます。具体的なシチュエーションをいくつか挙げてみます。プッシュ通知を活用すれば新たな施策を実施することも可能になるでしょう。
1. 新商品の発売通知:新しい商品やサービスが登場した際に、登録ユーザーに即時に知らせる。
2. セールやプロモーションの案内:限定セールや特別オファーをタイムリーに顧客に伝え、購買を促進する。
3. カゴ落ち対策:カートに商品を入れたまま離脱してしまった顧客に対してアナウンスし、商品やサービスの購入を促す。
4. 在庫僅少のアラート:人気商品の在庫が残り僅かになった時、購入を検討している顧客に速やかに通知する。
5. フィードバックやアンケートの依頼:製品やサービスに対する顧客のフィードバックを求めるためのアンケートを依頼する。
6. 重要なニュースの共有:企業の大切なお知らせや業界の重要なニュースを迅速に配信する。
7. 緊急情報の配信:天候警報やシステム障害など、緊急を要する情報を即座に通知する。
8. アプリのアップデート情報:新機能の追加やバグ修正など、アプリのアップデート情報をユーザーに伝える。
9. イベントのリマインダー:イベントやウェビナーの日程が近づいた時に、参加を促すリマインダーを送る。
10. ロイヤルティプログラムの特典案内:会員プログラムやポイント制度の特典、アップグレードの案内をする。
プッシュ通知において注意すべきポイント:「うざい通知」と思われないために
顧客にダイレクトに情報を届けることができるプッシュ通知。メリットが多い反面、配信の仕方によっては顧客離れを誘発することもあります。いわゆる「うざい通知」と思われないために以下のポイントに注意しましょう。
- 過剰な配信(頻度、内容):どれだけ有益な情報であっても、過剰な配信は情報量の多さからユーザーに不快感を与えかねません。通知の拒否、さらにはアプリをアンインストールされてしまう恐れさえあります。また繰り返し同じ内容を配信するなど工夫が足りないと、配信に対する注目度が徐々に低下し、ユーザーが重要な通知を見逃してしまうリスクが発生します。
- 時間帯:開封率が最も上昇する時間帯を見極め、適切なタイミングで配信することが重要です。深夜など多くの人が活動していない時間帯は避けるべきです。一般的には一日の終わりにインターネットをチェックする夜間帯は比較的開封率が高いとされていますが、ターゲット層や配信する目的・内容によって最適な時間帯は異なります。たとえば、睡眠計測アプリのユーザーに就寝を促進するメッセージを送る場合、一般的には避けるべきとされる深夜帯に配信することはアプリの使用を促すベストなタイミングと言えるでしょう。
ユーザーに好感を持たれるメッセージの特徴とは?
深い意図のない過剰な配信や不適切なタイミングでの配信が「プッシュ通知疲れ」を引き起こす一方で、ユーザーが価値を感じられるメッセージであれば、高頻度での通知も不快感を与えないことが分かっています。
では不快感を与えない、むしろ好感を持たれるメッセージとはどのようなものなのでしょうか?カスタマーエンゲージメントプラットフォームであるBrazeが同社の社員を対象におこなった調査によると、以下の3つが心惹かれるプッシュ通知の特徴とされています。
”プッシュ通知は、顧客が自分の役に立つと感じれば、効果を生みます。当社の社員が心惹かれたプッシュ通知は、次のようなメッセージでした:(1)注意を惹く、(2)本物の価値を提供する、(3)ブランドの働きかけを進んで受け入れられるタイミングで届く”
サイトには、マーケティングのプロであるBrazeの社員が実際に受け取ったプッシュ通知の好事例が9つ紹介されています。全て海外企業の事例になっており、英語だからこそ親しみやすさが感じられるという表現も多いですが、アプローチ方法は日本企業においても活用できると感じました。
まとめとして、前述の心惹かれるプッシュ通知の特徴を、私なりに事例から読み解いてブレイクダウンしてみました。ぜひご参考ください。
(1)注意を惹く
パーソナライズされたメッセージはユーザーの心に刺さりやすい傾向があります。いかに「まさに自分のことだ!」と思わせられるがポイントになります。
(2)本物の価値を提供する
たとえば、アプリ内で使われていない機能があれば、使用を促す通知を送ることでアプリの使用目的を改めて気づかせることができます。日常的にアプリを使用していると使い方が形骸化してしまったり、企業側が意図した利用方法が正しくユーザーに伝わっていないケースもあるでしょう。このような通知はアプリの本物の価値提供にもつながります。
(3)ブランドの働きかけを進んで受け入れられるタイミングで届く
たとえば、しばらくアクティブになっていないユーザーに向けてアプリを再び開くことのメリット、もしくはこのまま開かないことで生じるデメリットを伝えてみましょう。そのメッセージがユーザーにとって納得感のある内容であれば、企業側の行動促進を進んで受け入れてくれるはずです。
さいごに
アプリやWebサイト上のサービスが生活のあらゆるシーンで活用されるようになった昨今、顧客との接点増加は容易になったと言えます。しかし、接点が増えすぎて情報過多になると人は煩わしく感じてしまうもの。プッシュ通知が効果を発揮するシーンを正しく理解し、ユーザーの心を動かすマーケティングツールとして上手に活用していきたいですね!
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