2024年8月19日

ビジネスストラテジー

新規事業プロジェクトメンバーが役員の承認を得る時に絶対押さえておきたいスタートアップ手法とは

Kazuyuki Yoshizawa

現代のビジネス環境は、急速な技術進化と市場の変動により、かつてないほどの不確実性と複雑さを持っています。このような環境下で、新規事業を立ち上げる際に役員の承認を得るためには、スタートアップの手法を採用することが重要です。特に、「スタートアップフィットジャーニー」と呼ばれるアプローチは、新規事業の成功確率を高めるための重要なステップとなります。

スタートアップフィットジャーニーの6フェーズ

スタートアップフィットジャーニーは、新規事業を成功に導くための重要なプロセスを構成します。以下に、それぞれのフェーズの説明をします。

フェーズ1: Customer Problem Fit

「本当にその課題が存在するかを検証する」フェーズ。この段階では、顧客が直面している実際の問題を理解し、その問題が市場において重要であることを確認します。

フェーズ2: Problem Solution Fit

「問題の解決策が適切かどうかの検証」。提案された解決策が実際に顧客の問題を解決するかを検証し、効果的であることを確認します。

フェーズ3: Solution Product Fit

「プロダクトに解決策が適正に実装できているかどうか」。解決策を製品やサービスに組み込み、それが問題を効果的に解決していることを確認します。

フェーズ4: Product Market Fit

「本当に市場が存在するのかを検証」。製品が実際の市場ニーズに適合しているかを評価し、市場での成功の可能性を高めます。

フェーズ5: Go to Market

「スケール可能かどうか」。製品を市場に導入し、初期の顧客基盤を構築し、スケールアップの可能性を探ります。

フェーズ6: Growth

「成長できているか」。製品やサービスの市場拡大と事業の成長を目指し、持続可能な成功へと導きます。

スタートアップフィットジャーニー

新規事業部門にも適用できるスタートアップフィットジャーニー

スタートアップフィットジャーニーの6つのフェーズは、企業の新規事業部門にとっても非常に有効なアプローチです。これらのフェーズは、新規事業の立ち上げから成長までを段階的に導くフレームワークを提供し、企業が市場の変化に迅速に対応し、効果的な製品開発と市場戦略を展開するためのガイドとなります。特に以下の3つのポイントは押さえておくべきでしょう。

ポイント1 Customer Problem Fit

まず「Customer Problem Fit」は、企業が新規事業を立ち上げる際に市場のニーズと顧客の問題を正確に把握するための基盤を築きます。この段階では、顧客が直面している実際の問題を深く理解し、市場での需要を確認することが重要です。これにより、企業は無関係な製品開発やマーケティング戦略を避け、より効果的なアプローチを取ることができます。

ポイント2 Problem Solution FitとSolution Product Fit

次に、「Problem Solution Fit」と「Solution Product Fit」のフェーズでは、顧客の問題に対する解決策を開発し、それが製品やサービスに適切に実装されているかを確認します。これは、企業が提供するソリューションが実際に市場のニーズに合致しているかを検証し、顧客満足度を高めるために不可欠です。

ポイント3Product Market Fit

「Product Market Fit」の段階は、製品が市場の需要に適合しているかを評価する重要なプロセスです。このフェーズを通じて、企業は製品が市場で受け入れられる可能性を高め、長期的な成功の基盤を築きます。

これらのフェーズを通じて、企業は新規事業の立ち上げから成長までを段階的に導くことができ、市場の不確実性と複雑性に対応するための柔軟かつ効果的なアプローチを取ることが可能となります。タートアップフィットジャーニーは、新規事業の成功への道を明確に示し、企業が新たな市場機会を捉え、競争優位を築くための重要なガイドラインとなるのです。

役員の承認を得るために

これらのフィットジャーニーを取り入れることで、新規事業プロジェクトはより正確な蓋然性を得ることができます。このプロセスに基づいて事業計画を立てることにより、顧客の真のニーズと市場の動向に基づいた製品やサービスを提案することが可能となります。このアプローチは、新規事業が顧客課題に適切にフィットしていることを明確に示し、役員が承認する上での重要な要素となります。

役員に対しては、スタートアップフィットジャーニーを通じて市場適合性、財務的な持続可能性、戦略的な整合性を強調することが効果的です。これにより、プロジェクトの承認を得るための強力な根拠を提供することができ、企業が新たな市場機会を捉え、競争優位を築くための新しい方法論を採用することが可能となります。

新規事業成功の鍵は「蓋然性の説得力」

新規事業を成功に導くには、役員や関係者を説得するための「蓋然性」の高いアプローチが不可欠です。

蓋然性とは、ある事業やプロジェクトが成功する可能性のことを指し、これを高めることが事業の承認や支持を得る上で極めて重要になります。この蓋然性を高めるためには、顧客の深い理解と自社の提案の言語化が鍵となります。

顧客理解の本質に焦点を当てることは、新規事業の成功において最も重要な要素の一つです。市場と顧客のニーズを深く理解し、それに基づいて製品やサービスを開発することが、事業の蓋然性を高めます。顧客が直面している問題、彼らの期待や嗜好を正確に捉えることにより、製品やサービスが市場で成功する可能性は大幅に高まります。このような顧客中心のアプローチは、事業計画の蓋然性を高め、役員や投資家に対する説得力を強化します

さらに、自分たちのやりたいことを明確に言語化することも、蓋然性を高める上で重要です。これには、事業のビジョン、目的、目標、戦略を明確に表現することが含まれます。明確な言語化により、プロジェクトの目的と方向性が関係者に伝わりやすくなり、役員や他の意思決定者がプロジェクトの価値を理解し、支持する可能性が高まります。言語化はまた、チーム内でのコミュニケーションを促進し、一貫した方向性を確保するのにも役立ちます。

このように、蓋然性の高い事業計画は、顧客理解の深さと提案の明確さから生まれます。これらの要素は、新規事業の成功に不可欠であり、役員や関係者を説得するためには、これらを事業計画に組み込み、効果的に伝えることが求められます。顧客のニーズに基づいた製品やサービスの開発、そしてその提案の明確な言語化は、新規事業が市場で成功するための基盤を築くことになります。これらを事業計画に組み込むことにより、役員の承認を得る可能性を大いに高めることができるのです。

さいごに

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Kazuyuki Yoshizawa

Kazuyuki Yoshizawa

フリーライターからキャリアを始め、創刊雑誌の初代編集長を務める。その後広告代理店でクリエイティブディレクターを経験した後、外資系MarTech企業(現Cheetah Digital社)に転職。ビジネスアーキテクトとして新規事業開発やマーケティングなどに従事。その後独立し、個人でSaaS企業の事業コンサルティングを行う傍ら、ニューヨーク発のIT企業MovableInkの日本進出支援、Repro株式会社にてCBDOなどを歴任。20年6月からは台湾発AIテックスタートアップのawooにジョインし、日本市場開発責任者として日本法人awoo Japanの立ち上げとグロースを成功させる。21年スタートアップピッチアジェンダ最優秀賞、22年繊研新聞主催ファッションECアワード受賞。23年2月より株式会社アイスリーデザインにCPO兼CMOとして参画。

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