2024年9月2日

テクノロジー

クラウドネイティブとは?ビジネスの成長を加速させる技術を徹底解説!

otake mana

こんにちは!アイスリーデザインのオオタケです。突然ですが皆さん、こんな悩みはありませんか? 「システム構築のコストや時間がネックで新しいサービス展開に踏み切れない…」もしこのような悩みに心当たりがあるなら、クラウドネイティブが解決の糸口になるかもしれません。

「言葉は聞いたことがあるけれど、具体的に何のことかわからない…」という方も多いのではないでしょうか? 実は私もそのひとりでした。ITの世界は日々進化しており、数多くの技術トレンドに追いつくのは大変です。

この記事では、クラウドネイティブの基礎知識から導入メリットや活用事例に加え、導入時に考慮すべき課題についてもわかりやすく解説します。 クラウドネイティブを理解することで、ビジネスを成功に導くためのヒントが見つかるはずです。

クラウドネイティブとは?

クラウドネイティブとは、インターネット上のクラウドサービスが提供するリソース(サーバー、ストレージ、ネットワークなど)を活用し、必要な時に必要な分だけリソースを柔軟に利用できる技術です。例えば、Amazon Web Services(AWS)Microsoft AzureGoogle Cloud Platform(GCP)といった有名なクラウドサービスがこれに該当します。

例えば、リュックの中身を想像してみてください。旅行に行くときに、荷物として必要なものを詰めている間に、持っていきたいものが多くなり、リュックがパンパンになってしまうことはないでしょうか。友達と行く旅行の場合、友達と遊ぶためのトランプやボードゲームを入れてみたりして、最初の想定よりたくさんの荷物になってしまった!なんてことはよくある話ではないかと思います。

では、その時の対策としては何が考えられるかというと3点、リュックを大きくするか、荷物を圧縮するか、必要不可欠なもの以外の荷物を減らすか、だと思います。

リュックを大きくしたら確かに入る量が増えます。ただ、それを続けてしまうと際限がありませんよね。荷物の圧縮も良い方法ですが、限界があります。一方で、荷物を減らすという方法だと、既存のリュックでも対応することができます。

リュックの例えが少々長くなりましたが、このリュックを「ストレージ」として認識してもらうとわかりやすいと思います。ストレージを大きくするのはできますが、コストの側面から考えても、無尽蔵に大きくするのは限界がありますよね。それに、必要不可欠なものだけ手元に置いておきたいものです。

クラウドネイティブの場合は、必要な時に必要なリソースを使い、使わない時はそのリソースを解放することができるので、旅行中のリュックより高性能かもしれません。もはや〇次元ポケットですね…。速度感を担保し、快適な開発環境を整える上では使っていきたい技術です。

従来のオンプレミスシステム(自社運営)では、すべてのリソースを自社で用意・管理する必要がありました。しかし、クラウドネイティブ技術を使えば、必要なリソースをインターネット上のクラウドサービスから簡単に取得して利用できます。これにより、システムの柔軟性と拡張性が大幅に向上し、必要な場面で迅速に対応ができるようになります。

クラウドネイティブの4つの特徴

クラウドネイティブの主な特徴として、以下の4つがあります。

1. マイクロサービス

マイクロサービスは、アプリケーションを機能ごとに分割し、それぞれを独立したサービスとして開発・運用する手法です。これにより、一部の機能に問題が発生しても、他の機能に影響を与えることなく、迅速な修正やアップデートが可能になります。

商品検索、カート機能、決済機能などをそれぞれ独立したマイクロサービスとして開発・運用することで、各機能の開発スピードを向上させ、柔軟なシステム変更を可能にします。

2. コンテナ

コンテナは、アプリケーションとその実行に必要な環境を一つにパッケージ化する技術です。例えるならNintendo Switchのようなものです。ゲーム機本体にゲームソフトと必要なものが全て内蔵されているため、家でも外出先でも、場所を問わず同じようにゲームを楽しめます。コンテナを使うことで、開発環境やテスト環境と本番環境の違いによる不具合やトラブルを防ぎ、アプリケーションをどこでも同じように安定して実行できます。

3. DevOps

DevOpsは、開発チーム(Development)と運用チーム(Operations)が連携し、協力して開発・運用を行う手法です。従来はそれぞれの役割が分断されていましたが、DevOpsを導入することで、両者が一体となり、より効率的に作業を進めることができます。

運用をイメージせずに開発をしてしまった場合、運用時にトラブルが発生する可能性があります。例えば、ECサイトにおいて、レコメンド機能をつけたいからといって、カートの中に、購入商品以外にレコメンド商品がまぎれていたら、購入トラブルは避けられません。このように、運用時に想定できるようなトラブルを避けるためにも、開発と運用の一体化は重要です。開発と運用が一体となり、協力することで、高品質なソフトウェアを迅速かつ安定的に提供できるようになります。

DevOpsでは、プロセスの自動化とチーム間の密なコミュニケーションを重視します。そのため開発からリリースまでのサイクルを短縮し、顧客のニーズに迅速に対応できるだけでなく、システムの安定性も向上します。例えば、コードの変更を自動的にテストし、問題がなければ自動的に本番環境にデプロイする仕組みを構築することで、手作業によるミスを減らし、より迅速かつ安全にソフトウェアをリリースできます。

DevOpsについて詳しく知りたい方は「DevOpsとは?DXが進む企業の約8割が実践!メリットや導入方法を解説」の記事をぜひ読んで下さい!

4. CI/CD

CI/CDは、ソフトウェアの変更をすぐに取り込んで、自動的に更新をする仕組みです。引っ越しで役所に届け出を出すと、ECサイトや銀行、そのほか住所登録されているすべてのサービスで住所が自動的に更新されることを想像してもらうとわかりやすいかもしれません。

CI/CDは、以下の2つのプロセスで構成されています。

  • 継続的インテグレーション(CI)
    開発者がコードを変更するたびに、自動的にその変更をテストします。このプロセスを通じて、他の部分に影響がないか、問題を引き起こさないか、を素早く確認できます。
  • 継続的デリバリー(CD)
    CIでテストを通過したコードは、自動的に本番環境に反映されます。この自動化によって、手動でのデプロイ作業が不要になり、迅速かつ信頼性の高いリリースが可能になります。

例えば、GitHub Actionsなどのツールを使えば、コードの変更をリポジトリ(コードの保管場所)にアップロードするだけで、自動的にテストから本番環境への反映までの一連の流れ(パイプライン)を実行できます。これにより、開発者は手作業を減らし、より迅速かつ安全に新しい機能や修正をリリースできます。

 

クラウドネイティブ技術を活用するメリット

クラウドネイティブ技術を導入することで、ビジネスに以下のメリットをもたらします。

1. 柔軟な拡張性とコスト効率の向上

クラウドネイティブでは、必要な時に必要な分だけリソース(サーバー、ストレージなど)を増減できるため、無駄なコストを削減できます。例えば、ECサイトでセールを開催する際、アクセスが急増しても、クラウドなら即座にサーバーを増強して対応できます。

また、使った分だけの料金を支払う従量課金制のため、初期費用を抑えたいスタートアップ企業でも、ビジネスの成長に合わせて柔軟にリソースを調整し、コストを最適化できます。

2. 迅速な開発とサービス提供

クラウドネイティブは、新しい機能やサービスを迅速に開発・リリースできる環境を提供します。この特性のおかげで、市場の変化に迅速に対応することができ、ビジネスの競争力を高めることができます。例えば、SNSでは新しいフィルターなどの新機能をいち早くリリースし、ユーザーの関心を惹きつけることができます。

3. 運用自動化による効率化と安定化

さらにクラウドネイティブでは、デプロイ、スケーリング(リソースの増減)、リソース管理など多くのタスクを自動化できます。この自動化の恩恵を受けて、人手をかけずに効率的に運用できます。Kubernetes(※)のようなツールを活用することで、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、スケーリング、負荷分散などを自動化し、システム全体の管理を効率化できます。これらの自動化により、人的ミスを減らし、運用コストを削減できるだけでなく、システムの安定稼働にも貢献します。

※Kubernetes(クバネティス/クバネテス/クーべネティス、また、K8sと略される)
KubernetesはGoogleが開発したオープンソースのコンテナオーケストレーションシステム。コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、スケーリング、管理を自動化し、信頼性と運用効率を向上させる。インフラストラクチャを抽象化し、開発者がアプリケーションに集中できる環境を提供。クラウドやオンプレミスなど、さまざまな環境で利用可能。

引用:Kubernetes とは(https://cloud.google.com/learn/what-is-kubernetes?hl=ja

クラウドネイティブの課題

クラウドネイティブは非常に便利で多くのメリットがありますが、導入にはいくつかの課題も存在します。

1. 技術的な複雑さ

マイクロサービス、コンテナ、DevOps、CI/CDなど、クラウドネイティブには新しい技術や概念が多く、習得には専門的な知識と経験が必要です。この課題に対処するためには、専門的なトレーニングや認定資格を取得し、チーム全体で技術を習得することが重要です。また、外部の専門家やコンサルタントを活用して、導入支援を受けることも有効です。

2. セキュリティ対策

クラウド環境では、データの保護とアクセス制御が重要な課題となります。データ暗号化、アクセス制御リストの設定、セキュリティパッチの適用などの基本的な対策に加え、定期的なセキュリティ監査と脆弱性テストを実施することが重要です。これらの対策を怠ると、データ漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。クラウドサービスが提供するセキュリティ機能を活用し、最新のセキュリティ対策を導入することが重要です。

3. 運用コストの管理

クラウドサービスは従量課金制であるため、使い方によってはコストが予想以上に高くなる可能性があります。クラウドリソースの使用状況を常に監視し、不要なリソースを削減するなど、コスト管理に注意する必要があります。

4. ベンダーロックイン(

特定のクラウドサービス事業者に依存してしまうと、他の事業者への移行が難しくなることがあります。これは、データ移行やシステム再構築にコストと時間がかかるだけでなく、サービス変更への対応を余儀なくされる可能性もあります。この問題を避けるためには、複数のクラウドサービスを併用する「マルチクラウド」や、特定の事業者に依存しないオープンソース技術の活用が有効です。

※ベンダーロックイン
ベンダーロックインとは、特定のベンダーに強く依存したサービスを導入したことにより、他ベンダーのサービスへの移行が難しくなることをいいます。

クラウドネイティブ技術の実例とメリット

現代の私たちの生活において、クラウドネイティブはすでにさまざまな形で浸透しています。意識していないところで、当たり前のように利用しているサービスやアプリケーションの多くも、クラウドネイティブ技術に支えられています。以下に、クラウドネイティブを採用している実例について説明します。どの例も共通して、セキュリティの強化コスト削減ユーザー体験の向上といったメリットが挙げられます。どういった背景があるのか、それぞれの例を見ていきましょう。

インターネットバンキング

インターネットバンキング、すなわち、銀行のオンラインサービスはクラウドネイティブ技術を採用することで、24時間365日、安全かつ安定したサービスを提供することが可能となっています。もしこれがオンプレミスで構築されていたら、かなりやり取りが重くなり、スマートフォン上で送金や残金確認をするにも時間がかかってしまい、快適にはほど遠い状態になっていたかもしれません。オンプレミスの場合は、自社内でサーバーを持つ必要があり、コストがかさみます。また、セキュリティ機能を取り入れることで、データ保護も最新の技術を用いて実現することができます。このようにクラウドネイティブ技術をうまく活用することで上述のような様々なメリットを享受することが可能となっています。

オンラインショッピング

大手ECサイトやフリマアプリは、クラウドネイティブ技術を活用して、膨大な商品情報や顧客データを管理しています。また、セール時などのトラフィック急増にも柔軟に対応できるシステムを構築しています。前述の銀行と同様、データ総数が重いものほど、使いたいときに使いたいだけリソースを使えるクラウドネイティブ技術を使うことで、快適な挙動で操作することが可能になります。クラウドネイティブ技術の活用により、家にいても快適にショッピングが行える状態になった、すなわちユーザー体験が向上したと考えられるでしょう。

地図アプリ

対面での打ち合わせ、どこかに出かける時、いつでもすぐに使いたくなるスマートフォンなどの地図アプリは、クラウドネイティブ技術によって、リアルタイムの交通情報や位置情報を処理し、最適なルート案内や周辺情報提供を実現しています。渋滞を避けて目的地に最短時間で到着できるのもクラウドネイティブ技術を活用したことで得られる効果であり、メリットとなります。

まとめ

クラウドネイティブ技術を活用することで、業務の効率化やコスト削減、最適なユーザー体験を実現し、ビジネスの成長を加速させることができます。一方で、導入には専門的な知識や経験が必要であり、セキュリティ対策やコスト管理など考慮すべき課題もあります。

アイスリーデザインでは、クラウドネイティブ導入に関するコンサルティングやシステム開発支援など、お客様のニーズに合わせたサービスを提供しています。AWS関連のサービスを活用した開発について知りたい方はこちら(AWS CodePipelineAWS App RunnerAWS FargateAmazon ECS(Amazon Elastic Compute Cloud))をご参照ください。また、オンプレミスからの移行を検討しているなど、クラウドネイティブについて、さらに詳しく知りたい方は、ぜひお気軽に弊社までお問い合わせください。

 

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