スマートフォンの普及とともに、プッシュ通知は企業とユーザーを結ぶ重要なコミュニケーションツールとなりました。しかし、いまいちプッシュ通知を使いこなせていないという企業も多いのではないでしょうか?プッシュ通知の効果的な活用には戦略と知識が不可欠です。この記事では、プッシュ通知の基本から効果を最大化させるための配信ステップ、さらには最適なツール選択まで、まるっと解説していきます。
適切なタイミングと内容で送信されたプッシュ通知は、ユーザーエンゲージメントを飛躍的に向上させ、ビジネス成果に直結します。一方で、過度な通知はユーザーの離反を招く危険性もあります。プッシュ通知の真の力を引き出し、効果的なマーケティング戦略を構築するためのノウハウをマスターしたいという方は必見です。
目次
プッシュ通知とは?
プッシュ通知とは、アプリやWebサイトから直接ユーザーのデバイスに送信されるメッセージのことです。スマートフォンのロック画面やバナーに表示され、ユーザーが通知に気付きやすく、注意をすぐに引き付けることができます。
プッシュ通知には主に4つの種類があります。
- リモートプッシュ通知:インターネット接続時にリアルタイムで配信される。
- ローカルプッシュ通知:オフラインでも配信可能。
- リッチプッシュ通知:画像や動画を含む豊富なコンテンツを提供可能。
- Webプッシュ通知:ブラウザを介して配信される。
プッシュ通知の大きな特徴は、ユーザーがアプリを起動していなくても情報を届けられることです。これにより、タイムリーな情報提供や重要なリマインドが可能になります。ただし、過度な使用はユーザーの不快感を招く可能性があるため、適切な頻度と内容の設定が重要です。効果的に活用すれば、ユーザーエンゲージメントの向上、アプリの利用率増加、顧客ロイヤリティの強化など、様々なマーケティング上の良い影響が見込めます。
プッシュ通知とメルマガの違い
プッシュ通知とメールマガジン(メルマガ)は、どちらもデジタルマーケティングで活用される配信方法ですが、これまで主にメルマガを情報の配信手段として活用されてきた方は、2つの具体的な違いは何?と疑問に思うかもしれません。
メルマガと比べたときのプッシュ通知のメリットを中心に違いをまとめてみます。
配信方法と即時性
プッシュ通知は、アプリを起動しなくてもユーザーのデバイスに直接表示されるため、即時性が高く、ユーザーの注意を引きやすいという特徴があります。一方メルマガは、メールアプリを開き、さらにメールを開封するという複数のアクションが必要になります。
開封率とクリック率
プッシュ通知は必要なアクションが少なく、手軽に情報にアクセスできる点から、一般的にメルマガよりも開封率とクリック率が高い傾向にあり、スマートフォンアプリのプッシュ通知の平均開封率は約30~40%と、メルマガの約10%と比べて高くなっています。(参考:https://yapp.li/magazine/3328/ )
コンテンツの長さと情報量
プッシュ通知は通常短く簡潔なメッセージに限られますが、メルマガは画像や動画を含む、より詳細で長文なコンテンツにすることができます。それぞれの特性を活かし、配信内容や目的によって手段を使い分けることが重要です。
配信頻度とタイミング
プッシュ通知は、わざわざアプリを起動させる必要がなく、他のアプリを使用している最中やスマホを起動した瞬間に確認することができます。そのため、リアルタイムの情報提供に適しており、タイムリーな配信が可能です。メルマガは定期的な配信に適しており、週1回や月1回など、一定の間隔で送信されることが多いです。
継続的なエンゲージメント
これまで特徴として挙げてきた通り、プッシュ通知は、手軽に情報を確認できる即時性からユーザーが継続的にアプリやWebサイトを利用するよう促すのに効果的です。メルマガは、詳細な情報を配信できる点や定期配信と相性が良い点、そしてメールボックスにこれまでの配信内容が蓄積されていくためじっくり読み返すことができるなどの点から、より深い情報提供や長期的な関係構築に適しています。
このように両者にはそれぞれ長所があり、プッシュ通知だけではカバーしきれない側面もあるため、効果的なマーケティング戦略には両方を適切に組み合わせることが重要です。
プッシュ通知成功のポイント:どう通知を許可させるか?
プッシュ通知を配信する際には、個人情報保護法や特定商取引法等により、ユーザーからの明示的な通知許可を得る必要があります。プッシュ通知の成功には、いかにしてユーザーに積極的に通知を許可してもらうかが非常に重要です。以下に、通知を許可してもらうための工夫について詳しく解説します。
通知を許可させるための工夫
- 通知許可を表示させるタイミングの最適化
アプリ起動直後に許可を求めるのは避け、ユーザーがアプリの価値を理解した後に通知許可を要求するようにしましょう。また、ユーザーが特定の機能を利用しようとしたときなど、通知の必要性が明確な瞬間に許可を表示させることも効果的です。
- 通知によって得られる価値の明確化
通知を許可することで受け取れる情報はどんな内容か、それによってユーザーにどんなメリットがあるかを説明します。
例)「重要なセール情報をいち早くお知らせします。」など
- カスタマイズオプション
ユーザーが通知の種類や頻度を選択できるようにします。
- いつでも通知停止ができることを明示
ユーザーがいつでも通知の停止や設定を変更できることを強調します。
プッシュ通知の許可を得ることは、単なる技術的な手続き、法的な義務ではなく、ユーザーとの信頼関係を構築するプロセスと捉えることができます。ユーザーの利益を最優先に考え、価値ある通知を適切なタイミングで提供することで、長期的なエンゲージメントを実現できます。
プッシュ通知の配信ステップ
続いて、プッシュ通知を効果的に配信するための各ステップを見ていきましょう。
STEP1 セグメンテーション
コロナ禍を経て、リモートワークが一般的になるなど、人々の行動様式は多様化しています。そのため、個々人によりパーソナライズされた情報を届けることが重要になっています。セグメンテーションは、ユーザーを特定の基準で分類し、よりパーソナライズされたメッセージを届けるための重要なステップです。
- 行動データ:アプリ内での行動、購買履歴、閲覧履歴などを基に分類
- デモグラフィック:年齢、性別、居住地などの属性情報を活用
- 興味関心:ユーザーの好みや関心事項に基づいてグループ化
上記の軸を元にセグメント分けができたら、次はセグメントごとに最適なコンテンツを決めていきます。
STEP2 配信するコンテンツを決める
セグメントごとの特性を見極め、コンテンツを組み立てていきます。
- 関心のある情報:各セグメントの興味に合わせた情報を提供
- ニーズの解決:セグメントごとの課題に対する解決策を提案
- 言語やトーン:セグメントに適した言葉遣いやコミュニケーションスタイルを採用
例)過去に特定の商品を購入したセグメントに、関連商品のおすすめセット割引情報や新商品の先行予約案内を送る、など。
STEP3 配信するタイミングを選定する
適切なコンテンツ内容に、適切なタイミングを掛け合わせることで効果が倍増します。以下の要素から適切なタイミングを選定していきます。
- ユーザーの行動パターン:アプリの使用頻度や時間帯を分析
- イベントトリガー:特定のアクションや日付に基づいて通知を送信
- リアルタイム性:時事的な情報や緊急性の高い内容は即時配信
一般的に、平日の18時〜23時頃が開封されやすいとされていますが、サービスや商品の特性、それに伴うユーザーの特性、もしくはセグメントごとに最適なタイミングは異なるため、状況に合わせた判断が必要です。
STEP4 A/Bテストをおこない、PDCAを回す
これまで組み立てた施策の効果を検証するため、A/Bテストを実施し、PDCAサイクルを回します。これにより継続的な改善を行う仕組みを構築することができます。
- Plan(計画):テスト内容を設計(例:異なる文言、送信時間の比較)
- Do(実行):設計したテストを実施
- Check(評価):結果を分析(開封率、クリック率、コンバージョン率など)
- Action(改善):分析結果に基づいて改善策を実施
A/Bテストでは、メッセージの内容、表示タイミング、視覚的デザインなど、様々な要素を比較検証します。データ分析を通じて、ユーザーの行動を継続的に把握し、プッシュ通知の効果を最大化していきます。
これらのステップを適切に実行することで、プッシュ通知の効果を最大化し、ユーザーエンゲージメントの向上やビジネス目標の達成につなげることができます。
機能別:プッシュ通知のおすすめツール12選
プッシュ通知を配信するには、データベースを連携させてプッシュ通知ツールを導入するのが便利です。プッシュ通知の配信ツールは機能や利用シーンによってさまざまなものが提供されています。プッシュ通知のおすすめツールを機能別に分類して以下にまとめてみました。ツール選定の際に参考にしてみてください。
総合的なプッシュ通知ツール
- RichFlyer (株式会社フライシーン)
- AnyManager (AnyMind Group株式会社)
これらのツールは、幅広い機能を提供し、多様な利用シーンに対応できます。
プッシュ通知特化型ツール
- ZEBRA (株式会社アイスリーデザイン)
顧客属性に合わせた細やかなセグメント配信に特化した機能を提供しています。
アプリ特化型ツール
- Growth Push (株式会社SIROK)
- Appvisor Push (bravesoft株式会社)
- Core Push (株式会社エッセンティア)
アプリ開発者向けに最適化された機能を提供し、モバイルアプリのエンゲージメント向上に特化しています。
Webプッシュ通知に強いツール
- PUSH ONE (株式会社シグニティ)
- Push7 (株式会社GNEX)
- PushTracker (株式会社アピリッツ)
Webサイトやeコマース向けに設計されており、ブラウザベースの通知に優れています。
マーケティングオートメーション統合型
マーケティングオートメーション機能と統合されており、より高度なユーザーのセグメンテーションおよびパーソナライゼーションが可能です。
各ツールには独自の強みがあるため、具体的な要件や予算に基づいて最適なものを選択することが重要です。また、多くのツールが無料トライアルを提供しているので、実際に使用してみて機能や使いやすさを確認してみるのもおすすめです。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。プッシュ通知は効果的に使えれば強力なマーケティングツールとなり得る一方で、ユーザーの通知許可のハードルの高さや、適切なセグメンテーション・コンテンツ内容・配信タイミングの設定に難しさを感じ、苦戦している企業も多いのではないでしょうか?この記事がプッシュ通知の効果を最大化させるためのヒントになれば幸いです。
アイスリーデザインでは、プッシュ通知特化型のツール ZEBRAのご提供とともにマーケティング戦略の総合支援も行っております。現在取り組んでいる施策にプッシュ通知を掛け合わせて効果を上げたい、プッシュ通知を活用しているが上手く効果が出ていないなどお困りごとがございましたら、ぜひ一度弊社にご相談ください。