2024年11月22日

ビジネスストラテジー

【イベントレポ】Repro代表 平田さん、Flatt Security代表 井手さんご登壇!スタートアップ向けコミュニティ始動

アイスリーデザインでは、この度、スタートアップを支援する「STARTUP GROWTH COMMUNITY」を開始し、第1回のイベントを2024年10月30日に開催いたしました。この記事ではそのイベントの様子をレポしていきます!今後も継続して開催していく予定ですので、ぜひご注目ください。

1. イベント概要

本イベントは、スタートアップの経営者やプロダクトマネージャーを対象に、成長戦略に関する知識や経験を共有し、次なるステップに進むための具体的なヒントを得る場を提供すべく、開催いたしました。

イベント当日のタイムラインはこちらです。

17:00-17:30

  • オープニングネットワーキング
  • 参加者同士の自由な交流の時間

17:30-18:40

  • パネルディスカッション
  • テーマ:「このまま突き進むべきか、ピボットすべきか」

18:40-21:00

  • 懇親会
  • 軽食と飲み物を楽しみながら、登壇者や参加者と交流し、ディスカッションを深める場

スタートアップのトップ経営者をお招きし、自身のご経験を交えて知見をご共有いただくお時間を設けさせていただきましたが、実はこのイベントのメインコンテンツは「コミュニティ形成」です。懇親会にて、同じ課題に直面するスタートアップ経営者同士がつながり、今後の成長を加速させるシナジーを産むネットワークを構築していただきたいという狙いがあります。そのため、イベント冒頭と後半に自由に参加者同士で交流していただくお時間を取らせていただきました。

記念すべき第1回のテーマは、「ピボット」

パネルディスカッションパートでは、あらゆるスタートアップが直面するピボットをテーマに、株式会社Flatt Security 代表取締役 井手康貴さんとRepro株式会社 代表取締役 平田祐介さんのこれまでの経歴、そしてピボットにまつわるエピソードを伺いました。Q&Aタイムでは、参加者の皆さんからたくさんのご質問をいただき、お2人の知見をご共有いただく貴重な機会となりました。

まずは、そんなパネルディスカッションの様子をお届けします。後ほど、懇親会の様子もご紹介していきますので、最後までぜひお読みいただければと思います。

2. パネルディスカッション本編

そもそもピボットとは?

ピボットとは、当初のビジネス戦略やプロダクトに対して新たな仮説を立て、方向転換を図ることを指します。顧客ニーズの変化、市場の動向、資源の再配置などに応じて行われ、最終的な成功を目指すための柔軟な戦略的判断です。

ピボットは、事業のスケールや競争優位を築くための手段とされ、速やかな判断と実行力が求められます。ピボットには、事業モデルや顧客層を大きく転換する「大きなピボット」と、機能追加やUX改善など特定のプロダクト要素の変更にとどまる「小さなピボット」があります。

  • 「大きなピボット」

市場やターゲットの根本的な見直しを含み、事業全体の方向性が変わるケース

  • 「小さなピボット」

現行の方針を維持しつつ、仮説検証を通じてプロダクトや戦略を微調整し、精度を高めるための継続的な改善プロセス

スタートアップの成長を加速させるためには、常に適切な判断が求められますが、ピボットの適切なタイミングや実際どのようなプロセスを踏めばいいのかということに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

 

事業の沿革とピボット遍歴

ピボットに関する参加者の皆さまの疑問にお答えする前に、井手さんと平田さんがどのように事業を成長させてきたのか、そしてその成長の過程でどのようなピボットを経験してきたのかをお伺いしました。

株式会社Flatt Security

東京大学経済学部卒の井手康貴さんは、在学中にFiNC(現FiNC Technologies)・メルカリでのエンジニア経験を経て、2017年5月にFlatt(現・Flatt Security)を執行役員・豊田恵二郎氏と共に創業しました。

Flatt Securityはサイバーセキュリティの会社で、ソフトウェア・プロダクトの開発組織とそこで働くエンジニアにとって最適なセキュリティサービスを提供しています。「セキュリティ診断」やエンジニア向けのセキュリティ学習サービス「KENRO(ケンロー)」などを提供していますが、最近一番注力しているのは「Shisho Cloud(シショウ クラウド)」という、クラウドやWebの自動診断ができるSaaSツールです。

 

ちなみに、Shisho Cloudのロゴマークは背中を向けたパンダがモチーフになっていますが、Flatt Securityの「エンジニアの背中を預かる」というミッションをパンダの頼もしい背中で表現しているのだそうです。

続いてFlatt Securityの事業の沿革ですが、2017年に創業した際は現在とは全く違うtoCのeコマースとライブ配信を掛け合わせた事業をやっていました。しかし、この事業は約1年半後に事業譲渡しており、最初のピボットを経験しました。いわゆる事業レベルの「大きなピボット」です。

2019年には社名変更をし、サイバーセキュリティ事業を立ち上げました。2021年には2億円の資金調達を行い、新たな製品の構想が出てきたのもこの時期でした。当時、海外での調達事例が多い領域にシフトしましたが、結果的には時期尚早だったといいます。

そこで、2023年に日本でも顕在ニーズのあったクラウドセキュリティ周りの訴求に変更し、Shisho Cloudをリリース。ベースとなるシステムは変えずに、ターゲットを変更することによってピボットを行いました。そして、今年2024年にニーズが根強いWeb診断機能を追加し、さらなるサービス展開を推進しています。

また、2024年2月には新たに10億円の増資を実施し、GMOインターネットグループへの参画を発表しました。事業成長のスピードをこれまで以上に加速させるための意思決定です。

このように、Flatt Securityは事業自体で1回、プロダクトコンセプトレベルでは2回のピボットを経験してきました。



Repro株式会社

代表取締役の平田祐介さんは大手コンサルティングファームに入社後、主に製造業のクライアントに対してターンアラウンド戦略立案や新規事業開発支援業務に従事。2011年から複数事業の立ち上げに関与したのち、2014年にReproを創業しています。

Reproは創業以来、toCのMA(マーケティングオートメーション)ツールである「Repro Web」や「Repro App」の開発と運用を主たる事業としてきました。現在は、Reproにおける第2成長期と位置づけており、複数の特許技術を取得し、国内のみならず海外マーケット獲得のポテンシャルを持つサービス、「Repro Booster」の事業拡大に力を入れています。

PMF(プロダクトマーケットフィット)を達成するまでに、海外展開を含めいろんなピボットを経験してきました。

Reproの祖業はアプリ向けのユーザー行動を観察できるツールでした。当時アプリのユーザーが増え、アプリを作る企業も増えてきていましたが、上手くいっているところは多くありませんでした。そこで、ユーザーの動きを動画で再現できるツールを開発しましたが、玄人向けで市場には浸透せず、売れない商品になっていたといいます。そこで、より使いやすいツールを目指し、MAツールの開発をスタートしました。

MAツールというと、Salesforce(セールスフォース)やMarketo(マルケト)などがよく知られていますが、これらはtoBのビジネスをやっている人向けで、toCとは仕様が異なります。Reproが提供しているtoCのMAツールは、リアルタイムに顧客の行動を分析し情報収集するというのが特徴です。主な機能としては、パーソナライズしたプッシュ通知やメールの配信、ポップアップの自動化が挙げられます。

この事業は着実に成長を続け、上場できるレベルになっているといいますが、「競合ですでに上場しているところがあるし、このままいっても面白くない」と平田さんは感じていたそう。井手さんと同じく、「日本をこのまま終わらせてたまるか、欧米企業に勝てるくらい競争力のあるグローバルな製品を作りたい」という思いもあり、2020年にアジア展開しますが、ちょうどコロナの時期に重なり、現地の経済活動は完全に止まってしまっていました。こうなると、もうどうしようもなく、2022年に撤退せざるを得ない状況になりました。

その一方で、グローバル展開を目指し粛々と裏で開発を進めていたのが、htmlタグを入れるだけでWebサイト全体の表示速度が高速化されるツール「Repro Booster」です。事業化するのにも3年程費やし、R&D(研究開発)の苦しいフェーズを経て、細かくピボットしながらここまでやってきました。最近になって、ようやく事業が形になってきました。

 

株式会社アイスリーデザイン

本イベントの主催者として、MCはアイスリーデザイン取締役 CMOの吉澤和之が務めました。

吉澤はライター、クリエイティブデイレクターを経験後、外資系MarTech企業に転職。その後、個人で事業コンサルティングを行う傍ら、ニューヨーク発IT企業の日本進出支援、Repro株式会社にてCBDOなどを歴任。2020年6月からは台湾発AIテックのawooにて、日本市場開発責任者として日本法人の立ち上げとグロースを成功させました。2023年2月よりアイスリーデザインに参画しています。

もうお気づきだと思いますが、吉澤は元Repro所属ということで、今回の平田さんへのオファーが実現しました。また、井手さんは平田さんと起業仲間として以前からの長いお付き合いということで、和気あいあいとしたカジュアルな雰囲気の中、パネルディスカッションは進められました。

さて、弊社の事業もご紹介させていただきますと、アイスリーデザインは、ビジネス・デザイン・テクノロジーの分野における最新のモダンな技術を駆使した、いわゆるITのモノづくり屋です。主に注力しているのはテクノロジーの領域で、クラウドネイティブなアプリケーション開発に強みを持っています。また、UI/UXの設計やデザインシステム構築も豊富な実績を持っています。上流のマーケティング戦略から情報設計のデザイン、モダンなアプリケーション開発に至るまで、顧客の幅広い課題に寄り添い、伴走支援を行っている会社です。

アイスリーデザインは「デザインとテクノロジーの力で、日本を再度競争力のある国にする」というミッションを掲げており、偶然にもFlatt Security、Reproと同じく世界で戦える企業を目指すという大きな目標を掲げています。ビジョンは視座高くというのが、スタートアップにおいては非常に重要なポイントでもあります。

 

ここで吉澤と旧知の仲である平田さんからの鋭いツッコミが。

平田さん(以下敬称略):ビジネス・デザイン・テクノロジーって結構よくあるコンセプトだと思っていて、クライアント側からすると、ぶっちゃけこすられてるじゃないですか?(笑)

そういう反応に対して、これはやってやったぜという事例があれば、どういう関わり方をして、どういう成果があったのか聞かせてください。

吉澤いや~、しびれますね~。Repro時代を思い出しました(笑)

アート引越センター様のAIプロジェクトはめちゃくちゃすごいDXの事例として、先日展示会に出展した際もご紹介させていただいてます。どういうプロジェクトかというと、お部屋の中をぐるっと撮影するだけでアプリ上で自動見積りが完了するというものです。


事例紹介:ぐるっとAI見積り(アート引越センター様)

これまで見積り作業って対面で行っていたんですが、コロナ禍にZoomで見積りをするようになり、さらに進化して、アプリ上で人を全く介さずにできるようになったわけです。

引越業者にとって見積り作業は作業負荷が高く、さらに作業者の経験年数によって精度にばらつきがあることが課題でした。このアプリを使えば、お客さんが部屋を撮影するだけで自動でAIが積算してくれるので、大幅な省人化と見積りの負荷軽減につながりました。

平田具体的にはどういうビジネスインパクトがあったんですか?

吉澤今年5月にリリースされたばかりなので、売上についてはこれからですが、一番大きいのはオペレーションが簡略化されたという点です。見積り作業の負荷は業界共通の課題だったので、アート引越センター様だけでなく、引越業界全体において意義があるプロジェクトだったとお客さんにも言っていただけました。

AIで何かできないかというところからディスカッションを重ねてきたので、弊社としても非常にやりがいを感じたプロジェクトでした。

 

Q&A

今回のイベントにはSaaSのスタートアップやVC(ベンチャーキャピタル)の方々、スタートアップを支援する立場の企業様など、幅広い業界の方にご参加いただきました。そんな参加者の皆さまからいただいたご質問と、これまで様々なピボットを経験してきた井手さん、平田さんの回答をご紹介していきます。

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ピボットを決断するきっかけは?
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  • Question

ピボットは決して簡単な決断ではないと思いますが、どのようなきっかけでピボットを決断してきましたか?また上手くいかないことも多いと思うのですが、これだったら上手くいくなと感じたエピソードがあればおしえてください。

  • Answer

井手さん(以下敬称略):祖業を事業譲渡した際のピボットについてお話します。

もともと日本経済を良くしたいという思いは持っていて、高校生の頃から選挙権年齢を引き下げようという活動に参加していたりもしました。そういう信念もあって、外貨を稼げるビジネスというのを中心に考えるようになりました。

大きい外貨を稼げるという意味で、最初はECのライブコマースに目を付けました。ECは常に大きい市場で、当時中国ではライブコマースが流行していました。しかし、日本の人口は少なく、事業が拡大したとして数百億程度だということ。また、購買体験はtoCと相性がいいものだと分かり、アパレル企業が提供するのが一番拡大しやすいという結論に至りました。多少売上は上がっていたものの、自分のやりたいことと違うということで、ピボットを決断しました。

サービス開始から約1年半という短期間での決断だったため、自分以外の社員は正直みんなまだやりたがっていました。事業から手を引くという決断を伝えると、経営陣からまだやりたいという返答が返ってきて、もやもやはしましたね。

吉澤どれくらい議論を重ねたんですか?

井手自分の中では割と長いこと考えていたんですけど、実際メンバーと議論したのは1~2週間くらいです。

吉澤スピード感ありますね。

平田意地悪な質問をすると、ZOZOやユニクロを目指せば1兆円売り上げられるという意見もあったんじゃないですか?

井手そうですね。ただ、時間軸の観点も重要で、どれくらいの時間がかかりそうかというのも不透明でした。

あとは、私自身ファウンダーマーケットフィット(※)を結構重視しているんです。アパレル屋で最強になることはできないし、開発寄りの意見を持っているので技術ベースで勝負したかったというのがあります。そう考えると、自分のやりたいこととそもそも違うんじゃないかということに気付いたわけですね。

(※)ファウンダーマーケットフィットとは

起業家(ファウンダー)の経験、スキル、情熱が、取り組もうとしている市場や事業領域と適合している状態を指します。

 

ピボットしたときの感情としては、結構冷静でした。決断した次の日には、次はどの領域でビジネスをしようかというリサーチを始めていた気がします。

平田私は井手さんみたいに冷静でいられなかったというのが当時の心境です。

シリーズAに入る前、エンジェルに投資してもらっていた頃、月10万くらいしか稼げなかったので、毎日みんなでオフィスで鍋を食べてしのぐような状況でした。

そんな不安な状況だと、「この事業って上手くいくんですかね」と聞く人がいるんですけど、それってスタートアップにとってはダメな質問なんですね。上手くいくかどうかではなく、上手くいかせる努力をしないといけない。なので、これは世の中に認められるものだと、自らトップセールスになってメンバーに勇気を与えることが必要です。みんなの信用を得るには、まずトラクション(※)を作るしかないんです。

それを続けていって、自分以外が売れるようになったタイミングで行けるなと感じるようになりました。

(※)トラクションとは

スタートアップにおけるトラクションとは、事業の成長や進捗を示す具体的な実績や指標のことを指します。例えば、ユーザー数や顧客数、アプリの継続利用率といったエンゲージメント指標、収益などが挙げられます。

 

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撤退ルールは決めておくべきか?
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  • Question

新規事業を立ち上げるというピボットにおいては、撤退ルールを早めに決めておいて、次フェーズを考えなきゃいけないタイミングもあると思います。撤退の基準というのは決めておくべきものでしょうか?

  • Answer

平田撤退基準を決めておくべきというのは、会社が大きくなるほど言われることですよね。基準を設けるのは大事ですが、toBのビジネスでは経営が最前線に出て黒字化できない事業は何をやっても上手くいかないと思ってます。

会社が数十人規模であれば、トップが最前線に出ることで根性で稼げると思っています。いいものを作らないとスタートアップがグロースしないというのは、正しくもあり、間違ってもいるのではというのが私の考えです。

そういう意味では撤退基準は設けないです。撤退を考える前に、どうすれば改善出来るかを日々考えます。最前線で顧客からのフィードバックをもらい次第、開発と速攻ディスカッションするということを当時はやっていました。

とはいえ最近はIPOが近いフェーズになったので、大人のルールにアジャストしていかなければなりません。株主から「撤退基準は設けないのか」というご指摘があり、良いガバナンスをいただいているなという感じています。

井手個人的な意見としては、結局いくら使って、何年でどの状態にしようときっちり決めるのはほぼ無理です。折れたら終わりくらいに思っているので、仮説を信じられているうちはやるべきだと思います。なので、撤退基準と言っても一旦考える機会を設けようという意味合いで設定しても良いと思います

平田グロースが見えるまでは、会社として突っ込みが入りにくい程度の少額予算で続けることが大事だと思います。

新規事業でありがちなのは、気合いを入れて数億レベルの予算を付けてしまうことで、これだと長く続かない可能性が高いです。スモールなチームなら月数百万円台の予算で、細く長くやらせるのがいいと思います。

実際「Repro Booster」もR&Dが3回あって、技術突破できないかもと言われていました。月数百万くらいの予算で根気強く続けて、ようやく花開きました。井手さんもおっしゃってましたが、開発に携わる主軸の人たちが折れていなければまだいけます。端から見て、折れていそうであれば、本人からは言えないこともあるので、こちらからやめさせてあげることも必要です。

吉澤Repro Booster」のR&D期間はどのくらいだったんですか?

平田3年くらいかかりました。今もR&Dは継続していて、エッジコンピューティングの領域に足を踏み入れています。キャッシュも投下していて、いろいろな技術を試していますね。私はすでに権限移譲してしまっているので、正直この事業にはあまり関わっていないのですが、すごい勢いで伸びているのを感じてます。



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どんな「小さなピボット」を経験してきたか?
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  • Question

プロダクトにおけるコンセプトレベルの転換やターゲットを変えるなどの、いわゆる「小さなピボット」について、今までのご経験をおしえてください。

  • Answer

井手Shisho Cloud」はこれまでに2回コンセプトを変更しました。

最初に作ったサービスは一部のマーケットにのみうけるものだったんですね。顧客層のITリテラシーが高く、モダンな開発をしていたり、内製で開発体制を持っている会社が多かったんです。

ただ、セキュリティって売上が上がるものではなく、サービスを使うのには理由が必要です。例えば、世の中の規制とかですね。最初の3顧客くらいにはうけていたんですが、結局そのコンセプトは広くは刺さらなかったので、クラウド、次にWebアプリに寄せていきました。

その過程を踏んで気付いたんですが、やっぱりサービスを成長させるには汎用性の高いものである必要があります。なので、顧客からのフィードバックを反映させて、顕在的なニーズに当てるサービスに変えていきました。そうすることでピボットをする度に売上が上がってきましたね。

コンセプトを説明したとして、契約に繋がらないことの方が多いです。それがどんなに素晴らしいコンセプトであったとしてもです。すでに予算が取ってあって、ニーズがあるところに持っていくのが成功のポイントだったりします。

既存の契約を奪うというのが一番シンプルかもしれません。

平田最終的に売上を作るには、アイデアが出たら次にやるのはターゲットのお財布を覗きにいくことです。そして、試しに数十社サービスを当ててみて、反応が良いかどうかを確かめます。

井手ニーズがあると作りたくなっちゃうんですけど、予算が取れていないと結局ダメなんですよね。

平田私の場合、どういう風に説明すると稟議に通りやすいのか、顧客の予算期に入るとそういうことを探る動きをします。あとは、見積もりベースで上場会社の基準に満たない場合は、監査法人に交渉したりもします。

 

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ピボットするという事実をどう社員に伝えるか?
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  • Question

事業に思い入れもあるが、やんごとなき理由でピボットを決断したとき、社員やチームのメンバーにどのように伝えてきましたか?

  • Answer

井手正直言うと、私は人の気持ちを汲むのが苦手な方なんですが…伝え方難しいですよね。ただ心の整理はついていたので、ファクトを用いつつ真摯に自分の思いを社員には伝えました。そして、自分自身は異常なくらいの未来志向なので、次の日には完全に頭を切り替えていました。

平田攻撃的な人ほどディフェンスが弱いといいますが、私もその類で、結構傷つきやすいです(笑)私は酒に逃げることもあったし、1週間会社から離れることもありました。最終的に経営から逃げないための、一旦のセルフコントロールですね。

どう社員に説明するかでいうと、普段から社員と密にコミュニケーションを取ってお互いに考えていることを日々確認していました。会社は自分のためだけにやっているものではないし、きれいごとだけでは語れないので、なぜ会社をやっているのかというのを特に社内のキーマンには伝えるようにしていました。

そもそも何を成し遂げるためにやっているのかを振り返って、上手くいかないときにどうすべきかを全社員に向けて正直に話すことが私は大切だと思います。

ただ、質問者さんは私よりピボットの経験が豊富そうなので、社員との関係性構築については逆に勉強させてください!

 

DXプロジェクト伴走支援サービス

平田新規事業は、立ち上げから3年は外注も活用しながら開発を進めるように心がけていました。現在、安定して成長していけそうなフェーズに入って、ようやく内製化に向けて動き始めているところです。

新規事業では内部のリソースを使わないと決めている会社さんも多いと思っていまして、皆さんの中にも、新規事業の立ち上げ期で開発支援をしてくれる会社を探している方もいらっしゃるのではないでしょうか?

開発支援をする会社とスタートアップの企業が手を組むことで、一緒にグロースできる関係になれると思っています。

吉澤良い流れをつくっていただきありがとうございます。

まさにアイスリーデザインでは、プロジェクトを具現化する専門人材の不足に対して、最適なサービスを提供しています。それが、「DXプロジェクト伴走支援サービス」です。

このコミュニティ自体、スタートアップの企業様の開発やUI/UXデザイン改善のご支援ができればという思いから発足しています。

社内のリソースを使わずに、完全外注で戦略策定やPoCの実行、開発までチームとしてご支援させていただくことが可能です。ディレクション、デザイン、開発の不足に対して、一定期間人材をチームとして確保することができます。

アイデアはあるものの実行部隊がいない、社内のリソース不足でなかなかアイデアを形にできないという方は、ぜひ一度弊社にご相談ください。

 

3. 懇親会の様子

パネルディスカッション終了後は、弊社のオフィス内のオープンスペースで登壇者や参加者同士で交流を深める懇親会を開きました。

比較的少人数だったこともあり、登壇者ともカジュアルに話せる雰囲気で、皆さん積極的に名刺交換をされたりと、活発な交流が行われていました。新サービスやプロダクトのマーケティングの観点からも、「こんな事業やってます」と参加者同士で積極的に交流している方が多かった印象です。

また、ご用意させていただいたケータリングも好評で、お食事も楽しんでいただけたようです!

▲こちらがケータリング。見た目も彩り豊かで、味も美味しいと好評でした!

4. イベント参加者の声

イベント終了後にアンケートにご回答いただいた方のお声を、ピックアップしてご紹介します。

  • ピボットについての具体的な事例が分かりやすかった。
  • パネラーの方々がざっくばらんにお話頂いたことで、聴講者にも参考になったと思います。
  • 平田さんのスパイシーな発言がよかった。
  • ピボットというテーマは起業家が悩むポイントでありながらも、リアルな話を聞けるのは珍しい。
  • オンラインでは具体事例は公表しにくいので、対面イベントならではだった。

 

井手さん、平田さんの実際の経験に基づいたリアルな具体例を聞けたことがよかった、オフラインイベントならではだったというお声が多かったです。

また、平田さんの鋭い切り込みがよかったというお声もいただきました。このレポートでは全てをご紹介できていないのが残念なのですが、会場では気持ちいいくらいにばっさりと世間を切っていらっしゃったのが印象的です。オンラインではなかなか聞けないようなお話が聞けるのも、オフラインイベントの魅力ですよね!

5. さいごに

第1回となる今回は、「ピボット」をテーマに、スタートアップ経営者の知見を共有し、懇親会を通して交流を深めていただきました。今後もSTARTUP GROWTH COMMUNITYとして、第2回、第3回とイベントを開催していく予定です。次回の日程は現在調整中となりますが、ご興味のある方はぜひお見逃しなく!

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in-Pocket編集部

i3DESIGN

デザインとテクノロジーに関する情報を発信するアイスリーデザインのオウンドメディア、"in-Pocket"の編集部です。テクノロジー・デザイン関連の解説記事やビジネス戦略にまつわるインタビュー記事などを投稿しています。日々の業務における知識のインプットとしてぜひお役立てください!

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