英語会議が苦手な人にまず試してほしい、グローバル開発チームにおけるコミュニケーション術

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はじめに

はじめまして。株式会社アイスリーデザインのSoLといいます。アイスリーデザインではオフショア拠点との窓口業務を担当しております。具体的には、業務委託契約の締結といった法務関連の対応や、支払に関するトラブルの対応など、さまざまな業務に携わっています。

また、プロジェクトマネージャー(PM)として開発プロジェクトにも携わり、技術的な相談や要件定義を行うこともあります。その中で、海外メンバーとオンラインで英語のコミュニケーションをとる機会が多くあり、日々新たな課題に直面することも少なくありません。今回は、海外メンバーとのコミュニケーションにおいて私が直面した課題や、その課題にどのように対応してきたかについて記していこうと思います。

私の業務内容や英語を利用するシーンを分かりやすく表にまとめてみました。
ご自身の業務とも照らし合わせて読み進めてみてください!

業務内容・開発プロジェクト(要件定義、実装方法の相談、工数確認、進捗管理など)
・法務系(業務委託契約の締結、契約変更など)
・経理系(支払関連の対応など)
英語利用シーン会議、チャット
会議での英語利用頻度プロジェクト時は週2~3回、それ以外は年に数回
チャットでの英語利用ほぼ毎日(複雑な内容になると会議実施)

日常会話とは異なる「業務レベル」の英語

アイスリーデザインに入社して10年、海外メンバーとのやりとりを英語で行っていますが、正直なところ、英語圏への留学や海外居住の経験があるわけでもなく、インターナショナルスクールに通っていたわけでもありません。いわゆる普通の日本の教育を受けて英語を学び、なんとか日常会話レベルのコミュニケーションができるようになった程度です。

一応10年以上前にそこそこ勉強を頑張り、TOEICで800点を取ったことはあったのですが、実務で使える英語力が身に付いているかというと残念ながらそういうわけでもなく…テストスコアと実践で使える英語力には大きなギャップを感じています。

業務で交わされる会話は、そもそも複雑で難しい話題が多いもの。
例えば、皆さんの業務の中でもこんな場面ってありませんか?

  • 専門用語が飛び交う
  • 分からない単語が出てきても会話を止めるわけにはいかない
  • 決められた時間で終わるよう英語を聞き、話しながらタイムマネジメントをする必要がある
  • 内容を理解しながらファシリテーションをする必要がある

などなど。

特に、技術や法務、経理といった専門分野の会話では、たびたび専門用語が飛び交います。場合によっては、日本語であってもスムーズに理解するのが難しいこともあります。そんな内容を英語で話すとなると、当然ながらコミュニケーションのハードルはさらに高くなります。

私自身も、聞いたことのない英単語に引っかかり、その後の複雑な内容を整理しきれず、途中でパニック状態に陥った経験があります。

数人で会議している様子

会議中の助けとなるアジェンダの準備

私の場合、英語で会議を行う際は事前にアジェンダをしっかり用意することを心がけていました。もちろん、会議中に予想外の話題や質問が出るのは避けられませんが、少なくとも自分が伝えたい内容や想定される質問への回答については、あらかじめ考えておくようにしていました。

アジェンダにあまりに長い文章を書くのもいささか不格好なので、簡潔にまとめつつ、頭の中で英語の表現を事前にシミュレーションしておきます。これにより、アジェンダの項目を見れば「こういう感じのことを話す」という流れをイメージしやすくなり、いざというときに言葉が出てこなくなる状況をある程度防ぐことができます。

また、アジェンダのもう一つのメリットは、事前に共有しておくことで、仮に言葉に詰まったとしても、相手がアウトラインから大体の趣旨を汲み取ってくれることです。それに加え、図やグラフなどの補足資料を用意しておけば、さらに相手の理解を助けることができます。特にシステム開発の現場では、エンジニア同士がコードを見せ合うことで、英語力が高くなくてもコミュニケーションが成立する場面が多々あります。このように、英語以外の共通の「言語」や手段を活用することで、お互いの理解を深めることができます。

アジェンダを作成する際のポイントは、日本語で作成する場合と基本的に同じです。ただし、議論が必要なトピックに関しては、以下の項目を簡潔にまとめることを心がけました。

  • 現状
  • 今後の予定
  • 直近の問題点
  • 考えられる対応策
  • その他質問

以下はアジェンダのサンプルです。

20XX/4/1 w/Team-A

  1. Contract Template(テーマ)
    • Status(現状)
      • Reviewed by legal person
    • Need to update(今後の予定)
      • Should be deleted(直近でやること・課題・問題点など)
        • Prohibit Subcontractor
        • Rental of devices
        • Personal E-mail
      • Need to discuss(この会議で話し合いたい事柄)
        • Compensation
        • In case of disclosure of confidential information
        • In case of non-performance or untimely performance of Assignment

英語でのやり取りには不安がつきものですが、こうした工夫を重ねることで、自分の言いたいことを相手に伝えやすくなり、会議全体の質も向上すると感じています。準備を丁寧に進めることで、相手との信頼関係も築きやすくなると思います。

想定外の質問で焦らないために

しかし、どんなに会議前に事前準備をしたとしても、その場で想定外の質問が飛び出し、派生トピックに話が及ぶケースも少なくありません。英語の会議では「問題の理解+回答考案+英文作成」という難しいことを即座に考えなければいけませんが、それに慣れていないと頭で考えている時間が長くなり、沈黙の時間が発生してしまいます。回答に詰まっている時ほど、こちらの様子を窺う相手の目が少し恐ろしく見えて、余計に焦ってしまいます。私もそういう場面に遭遇するたび、自分の英語力のなさに落ち込んだりもしました。

ただ現実的に考えて普通に日本で生活して日々の業務に従事している自分が、いきなり急激に英語力を伸ばすなんて至難の業です。であれば、今の自分の英語力に合った良いコミュニケーション方法を考えることにしようと決めました。これが想定外の質問で焦らないための心構えとして、この章でお伝えしたいことです。

私は会議中に相手の発言内容の理解に困ったときは、まず相手に「今から自分の理解した内容を箇条書きで書いていくから、少し時間をください。そして、その内容が合っているか確認して頂けますか?(Once I’m gonna organize and write down my understanding from now, so could you check my understanding? Please give me some time. )」というお願いをするようにしていました。

特にシステム開発において、海外のエンジニアに技術的な対応可否を問う場面では「この前提であればできる/できない」という話になることが多いので、前提条件が増えるほど話が複雑になります。そんな時に自分の理解した内容を箇条書きにして問うことで、相手がなるべくYes/Noで回答してくれる形に持っていくことができ、認識齟齬をなくすことができると考えています。

確かに、相手からの質問に対して流暢な英語で即座に答えられたら、とてもスマートでかっこいいですよね。でも、私の場合、それができる範囲は限られているので、無理をするのはやめようと決めました。無理に答えようとすると、確信を持てない回答をしてしまい、それが後々トラブルにつながる可能性もあるからです。それよりも、少し時間をもらってでも丁寧に確認しながら進めたほうが、結果として良い方向に向かうと考えています。

英語でかっこよくコミュニケーションをとることが目的ではなく、お互いにきちんと理解し合い、共通の目標を達成することが大切だということを忘れないようにしています。この考え方を意識するようになってからは、無理をせず、自分に合ったペースでやり取りする方法を選ぶようになりました。

長々書いてしまったので、この章でお伝えしたかったポイントをまとめます。

  • 会議中に少し時間を貰って、自分の理解内容を箇条書きにする
  • 箇条書きにした内容について、相手にYes/Noで答えてもらう
  • 分からない部分があれば、無理にすぐ回答せず丁寧に確認を行う
  • カッコつけず、お互いに理解し合うことを目指す!

思いが溢れてガーっと書いてしまいましたが(いや〜、本当に苦労しましたので…)、あくまでも私の場合ですが参考にしてもらえれば嬉しいです。

付箋が貼りつけられたホワイトボード

実践によって英語力は上がる

上述の内容は、決してスマートとは言えない独自のコミュニケーション方法だと思います。でも、こうしたプロセスを積み重ねていくことで、確実に英語力は上がっていきます。たとえば、事前にアジェンダを準備する際には、適切な表現を調べることになりますし、英語での会議を繰り返すうちに「問題の理解」「回答の考案」「英文作成」といった作業にも徐々に慣れてくるはずです。

また、会議後にはきちんと内容を整理して議事録をまとめると思いますが、議事録作成は会議中に思いつかなかった適切な英語表現を自分で確認するタイミングになります。最初は大変だと思いますが、なるべく高頻度でたくさん英語の会議に参加し、「準備・実践・まとめ」の一連の作業を継続することが、英語力の向上につながります。

ただ簡単な日常会話を繰り返すだけでは英語力を向上させることは難しいです。なるべく業務の中で、自分の専門分野に関する複雑な内容について英語でコミュニケーションをとっていくことが、英語力向上の近道だと私は考えています。

恐らく私のように日本育ちで英語を使う機会が今までなかったのに、急に仕事で英語を使わなければいけなくなって困っている人もたくさんいると思います。確かに努力も必要ではありますが、現実的にはあなたが成長するまで業務は待ってくれるわけではありません。ですから、いまのあなたが持ち合わせている能力を最大限に活用しながら、英語力ではなくコミュニケーション方法の工夫をすることを重視してみましょう。

そのためには、まず今の自分の英語力や、得意なこと・苦手なことをしっかり理解したうえで、自分に合ったコミュニケーション方法を確立することがポイントです。そうすれば、さほど英語力に自信がなくても、海外メンバーと意思疎通を図ることは不可能ではないと私は思います。

「自分には無理だ」と諦めるのではなく、今の自分の力を活かして、どう乗り越えるかを考えることで道は開けるはずです。一歩ずつでも成長を目指して、頑張ってみてください!

アイスリーデザインでは、事業成長を加速させたい企業様に向けて最適なサポートをご提供しています。デジタルプロダクトの立ち上げからグロースフェーズまで幅広い課題に対応し、海外パートナーとの開発体制も整えております。国内外のリソースを最大限に活用し、事業成功をサポートいたします。

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