「デザインシステムを導入したいけれど、どの支援会社を選べばいいのか分からない」
「信頼できるパートナーを見つけたいけれど、選び方の基準が分からない」
そんな悩みを抱える皆さんに向けて、デザイナー目線で選んだデザインシステム導入支援に強い会社を厳選してご紹介します。業界のプロである私たちが、実績や専門性、サービス内容をチェックしました。
デザインシステムのビジネス上のメリットや迷わないパートナー選びのポイントも解説しているので、ぜひ依頼先のリストとしてご活用ください!
デザインシステム導入によるビジネス上のメリット
まず、デザインシステムとは、UIコンポーネントやスタイルガイド、デザイン原則を体系化し、デザインと開発における一貫性と効率性を確保する仕組みです。これを導入することで、すべてのプロダクトやサービスにおいて統一されたデザインを実現できるだけでなく、作業の効率化や品質の向上も期待できます。
デザインシステムについて詳しく知りたい方はこちらをチェック▼
デザインシステムとは?内容や作り方、運用方法を解説します
現場担当者からすると、作業効率性の向上やデザイナーとエンジニアとのスムーズな連携などメリットを感じやすいデザインシステム。しかし、その有用性やビジネス的な価値は最終的に導入の判断をする経営層にはなかなか伝わりづらいものですよね。
そこで、ここではあえてビジネス的な価値にフォーカスしてデザインシステムのメリットを説明していきます。
1. 作業プロセスの最適化によるコスト削減
デザインシステムには、作業効率を大幅に向上させる多くのメリットがあります。再利用可能なUIコンポーネントやスタイルガイドを活用することで、デザイナーやエンジニアは新たなデザインや実装にかかる時間を短縮できます。
経営層にその価値を適切に訴求するためには、作業効率向上を証明する定量的数値や費用対効果といった分かりやすいデータで示す必要があります。
そこで、デザインシステムの効果を具体的に示す際に活用できる2つの実験結果をご紹介します。
エンジニアの作業効率アップを証明するSparkboxの実験結果
アメリカに拠点を置き、デザインシステムの構築支援も行うソフトウェア企業であるSparkboxはデザインシステムが開発者の効率性やコードの質に与える影響を調査しました。
8人のエンジニアが、あるシステムにおけるフォームをゼロからコーディングした場合と、IBMのCarbonデザインシステムを使ってコーディングした場合の所要時間を計測しました。その結果、デザインシステムを使用することで、フォームの開発が47%早くなり、デザインシステムの使用が開発速度の向上に寄与することが証明されています。
※詳細はこちらをご覧ください。
>The Value of Design Systems Study: Developer Efficiency and Design Consistency
このような外部の実験データを上手く活用することで、経営層にもデザインシステム導入による価値が伝わりやすくなります。また、こういったデータを元に削減可能なコストを算出してみるのもいいかもしれません。
2. 一貫性のあるUIデザインによる顧客満足度の向上
デザインシステムを導入することで、ロゴ、カラーパレット、フォントなどのビジュアル要素が統一され、デザイナーやエンジニアの作業効率が向上することはもちろんですが、顧客満足度の向上にもつながります。
一貫性のあるUIデザインにより、ユーザーは新しい機能や製品に出会っても直感的に操作できるようになります。結果として、ストレスフリーで一貫したユーザー体験が顧客満足度の向上につながります。満足度が高まれば、ユーザーは同じブランドの製品やサービスを繰り返し利用する可能性が高くなり、リピート率の上昇や顧客ロイヤルティの強化という形で企業にも還元されていきます。
また、一貫したビジュアルは企業の安定性や信頼性を印象づけるだけでなく、ユーザーにブランドの価値観や個性を明確に伝えることができます。さらに副次的な効果として、明確なブランドアイデンティティを持つことで、ターゲット市場へのアプローチが容易になり、マーケティング戦略の効果が高まるというビジネス的なインパクトも期待できます。
3. スケーラビリティの向上
デザインシステムの導入には、ブランド定義のための調査・分析、コンポーネントの設計、ガイドラインの策定など、多くのリソースが必要です。また、導入後も管理・運用に一定のコストがかかるため、明確な効果を実感するまでには時間が必要です。
一方で、デザインシステムは適用するプロダクトや機能が増えていくと、システムの構成要素やプロセスが進化し、より効率的かつ効果的に機能するようになります。デザインシステムが成熟するにしたがって、デザイナーとエンジニアの作業が最適化された状態に近づき、削減できる作業工数も加速度的に増えていきます。
このようにデザインシステムは長期的な目線で見ると確実にスケーラビリティの向上につながりますが、すぐには結果が出ない先行投資的な側面があることを理解しておかなければなりません。
初期構築費用や管理・運用コストを考慮した上で、長期的なメリットを経営層に適切に伝えることが重要です。
デザインシステムのビジネス的メリットについてはこちらの記事で詳しく解説しています。投資対効果の計算方法もご紹介していますので、あわせてご覧ください▼
効率化とコスト削減を叶えるデザインシステムの力:企業が知っておくべきポイント
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(引用:The Never-Ending Job of Selling Design Systems)
デザインシステム導入支援のパートナーを選ぶポイント
デザインシステム導入には戦略立案やコンポーネント設計、ツールの選定など、多くのステップを伴うため、専門知識が不可欠です。また、デザインシステムは作って終わりではなく、運用フェーズにこそ課題が多いとも言われています。そのため、デザインシステム導入支援に強いパートナー企業の協力が効果的です。専門的な知見を持つ支援企業を活用することで、効率的かつスムーズな導入と運用体制の構築が可能になります。
パートナー企業を選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが必要です。
導入方法の柔軟な提案ができるか
前述の通り、デザインシステムは効果が出るまで時間がかかる施策です。そのため、小さく始めて適用範囲を広げていくことが成功の鍵となります。抱えている課題やプロダクトのフェーズ、企業規模によって適切な導入方法はさまざまです。
たとえば、まずはコストをかけずに小さな効果を検証することから始めたいという場合には、既存のUIライブラリをカスタマイズして活用するなどコンパクトに始める方法があります。
このように自社の置かれている状況によって、柔軟な導入方法を提案してくれるパートナーを選ぶことをおすすめします。
運用フェーズのサポートまで行っているか
作ったまま形骸化して使われなくなってしまうという状況にならないよう、デザインシステムの運用には仕組みづくりと、その仕組みを機能させるための運用体制の構築が非常に重要です。自社でデザインシステムを構築する大企業には専門の運用チームが存在するほどです。
具体的には、アップデートのゴールを決め、アップデートした内容をプロジェクトに適用、その結果についてデザイナー・エンジニアからフィードバックを収集し、さらなる改善につなげるといったPDCAサイクルを回していく必要があります。
効果的に運用を行うためには、知見のあるパートナーに頼むことが最適です。専門的な経験やスキルを持つ外部のパートナーと連携することで、デザインシステムの運用体制を強化し、効率的なPDCAサイクルを回すことが可能になります。
デザインシステムの導入ステップとつまずきやすいポイントが気になる方は、こちらの記事をご覧ください▼
プロダクト開発の効率と一貫性を高める!デザインシステムの導入ステップと成功のポイント
デザインシステム導入支援に強い会社6選
ここまでご紹介した選定ポイントを基に、デザインシステム導入支援で高い実績を持つ企業を厳選しました。各社の特徴や強みを詳しくご紹介しますので、パートナー選びの参考にしてみてください。
(※)記載している各社の従業員数は、すべて執筆時点(2025年2月)で確認できた情報です。
1. 株式会社アイスリーデザイン
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株式会社アイスリーデザインは、デザインだけではなく戦略的なDX推進やシステムの内製化まで包括的にサポートできる点が特徴です。デザインシステムにおいては「グローバルデザインシステム」の考え方を採用し、業界標準のUIパーツやベストプラクティスを基盤にしています。これにより、骨格部分の設計にかける時間を削減し、構造設計やユーザビリティテスト、ビジュアルの最適化に集中することで、限られたリソースでも最大限の効果を実現できます。
会社名 | 株式会社アイスリーデザイン |
設立年 | 2006年 |
従業員数(※) | 120人 |
提供サービスの範囲 | アプリケーション開発、DevOps構築、クラウド導入支援、デザインシステム構築支援、UI/UXデザイン、プロダクトマネジメント |
サイトURL | https://www.i3design.jp/ |
2. 株式会社グッドパッチ
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株式会社グッドパッチは、日本におけるデザインコンサルティングのリーディングカンパニーとして、デザインシステムを含めた多くの支援実績があります。同社は、デザインに特化した企業でありながら、UXデザインやブランディングだけでなくビジネス面などの上流工程にも精通している点が特徴です。
会社名 | 株式会社グッドパッチ |
設立年 | 2011年 |
従業員数(※) | 264人 |
提供サービスの範囲 | UI/UXデザイン、ビジネスモデルデザイン、ブランド体験デザイン、組織デザイン、ソフトウェア開発 |
サイトURL | https://goodpatch.com/ |
3. 株式会社Takram
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株式会社Takramは、ブランドのアイデンティティを重視したデザインシステムの構築に強みを持つ企業です。クリエイティブとテクノロジーの両方に精通している人材が多いため、統一感のあるデザインとスムーズな開発の連携を実現します。また、デザインシステムの導入だけでなく、それを組織に根付かせる伴走支援や、社内外のデザインシステム・コミュニティの育成にも力を注いでいる点が特徴です。
会社名 | 株式会社Takram |
設立年 | 2006年 |
従業員数(※) | 56人 |
提供サービスの範囲 | ブランドデザイン、デジタルプロダクト開発、プロダクトデザイン、デザインシステム構築 |
サイトURL | https://www.takram.com/ja |
4. 株式会社ゆめみ
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株式会社ゆめみは、積極的なアクセシビリティ対応や、プロダクト規模に応じたプロセス設計により、効率的で実用性の高いデザインシステムを構築します。また、デザインシステムの費用対効果に関する理解も深いため、エンジニアリングやプロダクト戦略の視点を融合し、全体最適なサービス開発を支援します。
会社名 | 株式会社ゆめみ |
設立年 | 2000年 |
従業員数(※) | 393人 |
提供サービスの範囲 | DX支援、サービス開発支援、スタートアップ支援、内製化支援 |
サイトURL | https://www.yumemi.co.jp/ |
5. Fixel株式会社
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Fixel株式会社は、業務システムやtoB領域に特化したデザインシステム支援サービスを提供する企業です。デザイナー視点とエンジニア視点の両面から使いやすく、再利用性に優れたシステム設計が特徴です。また、独自のデザインシステム構築プラットフォーム「UXHub」も提供しており、デザインシステムを迅速に作成・運用できる環境を整えています。
会社名 | Fixel株式会社 |
設立年 | 2019年 |
従業員数(※) | 12人 |
提供サービスの範囲 | UI/UXデザイン、システム開発、新規サービス開発支援、デザインシステム構築・運用支援 |
サイトURL | https://fixel.co.jp/ |
6. 株式会社ニジボックス
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株式会社ニジボックスは、設立当初はゲーム事業を中心に手がけてきた歴史を持ちます。その背景からWeb構築を得意とし、ビジュアルやアニメーションなどの表現力にも強みを持つ点が特徴です。近年はUIへの深い理解や高い技術力を活用し、toB・toC問わず幅広い領域のサービスデザインも支援しており、デザインシステムに関しても書籍を出版するなど積極的な発信活動を行っています。
会社名 | 株式会社ニジボックス |
設立年 | 2010年 |
従業員数(※) | 356人 |
提供サービスの範囲 | UX/UIデザイン、Web開発、データマネジメント、動画・イラスト制作、プロトタイプ開発支援 |
サイトURL | https://www.nijibox.jp/ |
デザインシステム導入支援を成功させるためのポイント
デザインシステムの導入支援を依頼するにあたり、外部のサポートを最大限に活用するためには、まず自社内部でいくつかの重要事項を事前に確認しておく必要があります。
プロジェクトの目的・範囲
デザインシステム導入を成功させるためには、プロジェクトの目的と範囲を明確に定義することが重要です。
- 目的の明確化
「デザインの一貫性を保つ」「開発効率を高める」「チーム間のコミュニケーションを改善する」など、達成したい目標を具体的に定めましょう。目的が曖昧だと、導入後の活用が不十分になり、期待する効果を得られないリスクがあります。 - 範囲の設定
デザインシステムに含める要素や管理対象の範囲を検討します。初めから広範囲を対象とするのではなく、最も効果が期待できる部分や頻繁に利用されるUIコンポーネントに絞って始めるのがいいでしょう。
ビジネス目線でのコンサルティングができるパートナー会社であれば、目的・範囲を改めて定義するところから相談できるケースもあります。
予算・スケジュール
デザインシステムの構築にはデザイナーやエンジニアなど多くのリソース投入が求められるため、どこまでを内製し、どこからを外部に委託するかを明確にした上で、適切な予算とスケジュールを設定することが重要です。最終的に「いつまでに、どのレベルのデザインシステムが必要か」というゴールを明確にし、それに基づいたスケジュールを立てるようにしましょう。具体的なゴールを定めることで、段階的な実装を効率的に進められ、導入期間の長期化やプロジェクトの迷走といったリスクを防ぐことができます。
社内の推進体制
デザインシステム導入には、デザイナーやエンジニアだけでなく、プロダクトオーナーやプロジェクトマネージャーなど、複数の部門が連携する必要があります。社内における推進責任者を明確にし、役割分担を決めておくとスムーズに進行します。
まとめ
いかがでしたか?本記事では、デザイナー目線でデザインシステム導入支援に強い企業を6社ご紹介しました。選定の際に押さえるべきポイントも含めてご参考いただければと思います。
デザインシステム導入支援を依頼する企業選びは、成功するプロジェクトを作り上げるための重要なステップです。この記事で紹介した企業や選び方のポイントを参考に、自社に最適なパートナーを見つけてみてください。適切な企業選定を行い、スムーズな導入を進めることで、デザインシステムを最大限に活用できるはずです。
アイスリーデザインではデザイナーとエンジニアが連携し、一貫性のあるデザインシステムの構築支援をしています。「デザインに一貫性を持たせることでUXの改善を図りたい」「プロダクトの作業効率を改善したい」といった考えをお持ちの方はぜひこちらからご相談ください。
デザイナーの作業効率アップを証明するFigmaの実験結果
Figmaのデータサイエンスチームが、デザインシステムを活用することで、どれだけの時間とコストを節約できるかを調査しました。
デザインシステムを使用しなかった場合と比較して、使用した場合、デザイナーがタスク完了するまでの時間が34%早くなったという結果が出ています。
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>Measuring the value of design systems | Figma Blog