【初心者向け】クラウドリフト実践!計画から移行、運用まで徹底解説

【初心者向け】クラウドリフト実践!計画から移行、運用まで徹底解説の記事サムネイル

近年、多くの企業がクラウド移行を進める中で、迅速かつ低リスクで既存のシステムをクラウド環境へ移行する「クラウドリフト」が注目されています。クラウドリフトとは、現行のシステムをほぼそのままクラウドへ移行する手法であり、大幅なアーキテクチャ変更を伴わずに、コスト削減やスケーラビリティの向上を実現できるのが特徴です。

オンプレミス環境に慣れ親しんだチームやシステムをどう進化させていくか。その答えの一つが「クラウドリフト」と言えます。

本記事では、クラウド移行の最初のステップを切り口に、クラウドネイティブ化を進めるポイントや課題を一緒に考えてみたいと思います。

クラウド移行を検討中の企業担当者の方も、既に取り組み始めた方も、ぜひ参考にしてください。

クラウドリフトとは?

クラウドリフトとは、現在利用しているオンプレミス環境や従来のシステムを、そのままクラウド環境に移行するアプローチを指します。正式には「Lift & Shift(持ち上げて移動)」とも呼ばれ、クラウド移行の第一歩として多くの企業で採用されています。

この方法の大きな特徴は、既存のシステムやアプリケーションを再設計せずにそのままクラウドに移動できる点です。移行のスピードが速く、初期費用を抑えられるため、クラウドのメリットを早く実感したい場合に有効です。

たとえば、物理サーバで動作しているアプリケーションを、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platformなどの仮想マシン上で動作させる形に移行することがこれに該当します。このプロセスの主な目的は、クラウドの持つ柔軟性や拡張性を迅速に活用することで、コスト削減や運用効率の向上を目指します。

なぜクラウドリフトが注目されているのか?

クラウドリフトが注目される背景には、いくつかの理由があります。

  • デジタル変革の加速: 企業が競争力を維持するために、迅速なITインフラの変革が求められています。
  • オンプレミス運用の課題: ハードウェアの老朽化や運用コストの増加、スケーラビリティの限界などが、クラウド移行の動機となっています。
  • 事業継続性(BPO対策):災害時にも迅速な復旧が可能であり、データ損失のリスクを低減します。外部クラウド環境でデータを安全に保管することで、事業継続性が向上します。

オンプレミス環境での運用は多くの労力が必要です。私もかつてオンプレミスでサーバー管理を担当していた時期がありました。当時はサーバーが社内に設置されていたため、会社が入居しているビルで計画停電が実施される際には、サーバーを停止しなければなりませんでした。仮想環境を利用していたこともあり、数十台のサーバーに1台ずつログインしてシャットダウンする作業を繰り返していたことを覚えています。

さらに、利用中に突然ディスクエラーが発生することも少なくありませんでした。そのたびにカスタマーエンジニアに依頼してディスクの交換手続きを行う必要があり、大きな負担となっていました。しかし、クラウドに移行(クラウドリフト)することで、こうしたオンプレミス環境での煩雑な運用作業はすべて不要になります!

クラウドリフトの目的と特徴

目的

クラウドリフトの主な目的は、迅速かつ効率的にクラウド環境へ移行し、運用コストを削減することです。また、クラウド環境への移行は、将来的なクラウド最適化(クラウドシフトやクラウドネイティブ)への第一歩ともなります。

主な特徴

  • ハードウェア管理からの解放: サーバーやストレージの物理的な管理が不要になります。
  • スケーラビリティの向上: 必要に応じてリソースを柔軟に拡張・縮小できるため、ビジネスの成長に対応可能です。
  • 高可用性の実現: クラウドプロバイダーが提供する冗長性やバックアップ機能により、システムのダウンタイムを最小化できます。

クラウドリフトのプロセス

ここまででクラウドリフトの概要は捉えていただけたと思いますので、以下で、クラウドリフトのプロセスをさらに詳細に分解し、各ステップでの具体的なアクションや注意点を解説していきます。

①現状分析

クラウドリフトの第一歩は、現在のIT環境を徹底的に分析することです。このステップでは、移行対象のシステムやアプリケーションを特定し、移行の影響を評価します。

<具体的なアクション>

  • IT資産やソフトをリスト化して管理
    • サーバー、アプリケーション、データベース、ネットワーク構成など、現在のIT資産をリストアップします。
    • 各資産の依存関係(例: アプリケーションが特定のデータベースに依存しているか)を明確にします。
  • パフォーマンス要件の確認
    • 各システムの現在のパフォーマンス(CPU使用率、メモリ消費量、ストレージ容量など)を測定します。
    • クラウド環境で必要となるリソースを見積もります。
  • リスクと制約の特定
    • クラウド非対応のシステムや、移行時に発生する可能性のあるダウンタイムを特定します。
    • セキュリティやコンプライアンス要件も確認します。

リストアップ例(IT資産やソフトをリスト化して管理)

1.IT資産リスト(20XX年⚪︎⚪︎月△△日時点)

サーバ

資産ID資産名使用目的OSツール設置場所オーナー
SV001WebサーバA社内ポータルサイトのホスティングLinuxApacheサーバ室システム部
SV004WebサーバB顧客管理システムのホスティングLinuxNginx、tomcatサーバ室システム部
SV003ファイルサーバC従業員用ファイル共有、部門別フォルダWinWindows Serverサーバ室システム部
AD001Active Directory Fユーザ認証、アクセス権管理、グループポリシー適用WinWindows Server ADサーバ室システム部
BK001バックアップサーバGDBサーバB、ファイルサーバCのデータバックアップLinuxRsyncサーバ室システム部
BK002バックアップサーバHDBサーバDのデータバックアップLinuxRsyncサーバ室システム部

アプリケーション

資産ID資産名使用目的OS言語設置場所オーナー
AP001社内ポータルサイト社内情報共有、コミュニケーション促進LinuxPHPサーバ室開発部
AP002顧客管理システム顧客情報の一元管理、営業活動支援LinuxJavaサーバ室開発部

データベース

資産ID資産名使用目的OSツール設置場所オーナー
SV002DBサーバB社内ポータルサイトのデータベースLinuxMySQLサーバ室システム部
SV005DBサーバD顧客管理システムのデータベースLinuxPostgreSQLサーバ室システム部

ネットワーク

資産ID資産名使用目的ツール設置場所オーナー
NW001ルータDインターネット接続、社内ネットワークのルーティングCiscoルータサーバ室システム部
NW002ファイアウォールE外部からの不正アクセス防御、内部からの不正通信遮断FortiGateサーバ室システム部

2.依存関係

依存元依存先説明
WebサーバADBサーバBWebサーバAはDBサーバBにアクセスしデータを取得する
WebサーバBDBサーバDWebサーバBはDBサーバDにアクセスしデータを取得する
ファイルサーバCActive Directory FファイルサーバCはActive Directory Fに認証・認可を依頼する
Active Directory FファイルサーバCActive Directory FはファイルサーバCのユーザー認証、アクセス権管理を行う
バックアップサーバGDBサーバBバックアップサーバGはDBサーバBのデータをバックアップする
バックアップサーバHDBサーバDバックアップサーバHはDBサーバDのデータをバックアップする
社内ポータルサイトWebサーバA社内ポータルサイトはWebサーバA上で動作する
社内ポータルサイトDBサーバB社内ポータルサイトはDBサーバBにアクセスしてデータを取得する
顧客管理システムWebサーバB顧客管理システムはWebサーバB上で動作する
顧客管理システムDBサーバD顧客管理システムはDBサーバDにアクセスしてデータを取得
ルータDファイアウォールEルータDはファイアウォールEを介して外部ネットワークと通信する
ファイアウォールEActive Directory FファイアウォールEはActive Directory Fに認証・認可を依頼する

現状分析では、IT資産やソフトをリスト化して管理するのが重要です。特にアプリケーションがクラウド上で動作しなければ、クラウドリフトできませんので、アプリケーションの互換性や依存関係について整理が必要です。

②戦略策定

現状分析の結果をもとに、移行の具体的な計画を立てます。このステップでは、移行対象の優先順位を決定し、リスクを最小化するための戦略を策定します。

具体的なアクション

  • 移行対象の優先順位付け
    • ビジネスにとって重要度の高いシステムや、移行が比較的容易なシステムから優先的に移行を進めます。
    • 例えば、テスト環境やバックエンドシステムを先に移行し、ミッションクリティカルなシステムは後回しにすることが一般的です。
  • 移行方式の選定
    • クラウドリフトでは基本はシステムをそのままクラウドに移行しますが、必要に応じて部分的な最適化(リファクタリング)を検討します。
  • コストとリソースの見積もり
    • クラウドプロバイダー(AWS、Azure、GCPなど)の料金モデルを比較し、最適なプランを選択します。
    • 必要なツールや専門家のリソースも計画に含めます。

クラウドリフトを検討する際、オンプレミス環境におけるハードウェア更新も含めた検討が行われている可能性が高いです。この場合、オンプレミス環境を維持した場合とクラウドへ移行した場合の両方の見積もりを取得することになります。

費用面で考えると、イニシャルコストはクラウドに軍配が上がりますが、ランニングコストを含めた場合にはオンプレミスに軍配が上がる傾向があります。しかし、クラウドへ移行する最大のメリットはハードウェア管理からの解放です。このハードウェア管理の負担軽減によるコストメリットも合わせて表現できれば、クラウドへの移行を推進しやすくなるでしょう。

③移行の実行

計画に基づき、実際にシステムやデータをクラウド環境に移行します。このステップでは、移行ツールやクラウドプロバイダーのサービスを活用し、効率的かつ安全に移行を進めます。

具体的なアクション>

  • 移行ツールの活用
    • AWS Migration Hub、Azure Migrate、Google Cloud Migrateなどのツールを使用して、移行プロセスを自動化・効率化します。
    • データ移行には、ストレージサービス(例: AWS S3、Azure Blob Storage)を活用します。
  • テスト環境での移行試験
    • 本番環境に移行する前に、テスト環境で移行プロセスをシミュレーションします。
    • アプリケーションの動作確認やデータの整合性チェックを行います。
  • 段階的な移行
    • 一度にすべてを移行するのではなく、段階的に移行を進めます。これにより、問題が発生した場合の影響を最小限に抑えることができます。

クラウドプロバイダー提供サービスやツールが登場する前のクラウドへの移行方法は、専門知識が必要な複雑なプロセスで、長時間のシステム停止を伴う場合もあったり、移行後の確認作業やプロジェクト管理にも課題がありました。これらの課題が、クラウド移行を阻害する要因となっていました。

クラウド環境への移行は、移行ツールとクラウドプロバイダーのサービスを活用し、効率的かつ安全な移行をした方が良いでしょう。テスト環境での移行リハーサルや段階的な移行により、リスクを最小限に抑えます。移行後には、システムの可用性向上やコスト削減などの効果が期待できます。

④運用と最適化

移行が完了した後は、クラウド環境での運用を開始します。必要に応じて最適化を行います。このステップでは、コスト管理やリソースのモニタリングが重要です。

具体的なアクション>

  • リソースのモニタリング
    • クラウドプロバイダーが提供するモニタリングツール(例: AWS CloudWatch、Azure Monitor)を活用し、リソースの使用状況を監視します。
    • パフォーマンスのボトルネックや過剰なリソース消費を特定します。
  • コスト管理
    • クラウド利用料金を定期的に確認し、不要なリソースを削除します。
    • リザーブドインスタンスやスポットインスタンスを活用してコストを削減します。
  • セキュリティとコンプライアンスの確認
    • クラウド環境のセキュリティ設定を定期的に見直し、最新のベストプラクティスに従います。
    • データの暗号化やアクセス制御を強化します。

クラウド移行完了後は、新たな運用フェーズが始まります。クラウド環境における安定稼働と最適化を図るため、コスト管理、パフォーマンス監視、セキュリティ対策を継続的に実施していく必要があります。

具体的には、クラウドプロバイダーのモニタリングツールを活用し、リソース使用状況を把握することで、パフォーマンスのボトルネックやコストの無駄を特定します。また、セキュリティ設定の定期的な見直しと強化を行い、コンプライアンス遵守を徹底します。

クラウドプロバイダーのツールについてどのように利用するかを事前に決めておくことがスムーズな運用に繋げられるかの鍵となります。運用フェーズに入る前に準備をしておきましょう。これらの活動を通して、クラウド環境のメリットを最大限に活かし、ビジネスの成長を促進していくことが重要です。

クラウドリフトの課題と解決策について

クラウドリフトは、オンプレミス環境からクラウド環境への移行を迅速に行うための手法として、多くの企業で採用されています。しかし、このプロセスにはいくつかの課題が伴います。これらの課題を理解し、適切な解決策を講じることで、クラウドリフトを成功に導くことが可能です。以下では、クラウドリフトにおける主な課題とその具体的な解決策について詳しく解説します。

1. 現行システムのクラウド非対応部分

課題>

オンプレミス環境で長年運用されてきたレガシーシステムの中には、クラウド環境でそのまま動作しないものがあります。特に、特定のハードウェアやOSに依存しているシステムや、古いプログラミング言語で構築されたアプリケーションは、クラウドへの移行が難しい場合があります。

解決策>

  • 移行対象の精査
    すべてのシステムを無理に移行するのではなく、クラウド移行の対象を慎重に選定します。例えば、クラウド非対応のシステムはオンプレミスに残し、クラウドとハイブリッド環境を構築する選択肢も検討します。
  • リファクタリングの実施
    必要に応じて、クラウド環境で動作するようにアプリケーションを部分的に改修(リファクタリング)します。これにより、クラウドの利点を最大限に活用できます。
  • 仮想化技術の活用
    クラウド非対応のシステムを仮想マシン(VM)としてクラウド上に移行することで、既存の環境を維持しつつクラウドの恩恵を受けることが可能です。

2. データ移行の複雑さ

課題>

オンプレミス環境からクラウド環境へのデータ移行は、特に大規模なデータセットを扱う場合に複雑になります。データの整合性を保ちながら移行を行う必要があり、移行中のダウンタイムやセキュリティリスクも懸念されます。

<解決策>

  • 段階的な移行
    一度にすべてのデータを移行するのではなく、段階的に移行を進めることで、リスクを最小限に抑えます。たとえば、まず非クリティカルなデータを移行し、その後に重要なデータを移行する方法が効果的です。
  • データ移行ツールの活用
    AWS SnowballやAzure Data Boxなどの専用ツールを使用することで、大量のデータを効率的かつ安全に移行できます。
  • データのバックアップ
    移行前にすべてのデータをバックアップし、移行中にデータが失われるリスクに備えます。
  • セキュリティ対策の強化
    データ移行中のセキュリティを確保するために、データの暗号化や安全な通信プロトコル(例: HTTPS、SFTP)を使用します。

3. 運用コストの予想外の増加

課題>

クラウド移行後、リソースの使用状況や料金モデルを適切に管理しないと、運用コストが予想以上に増加することがあります。特に、オンデマンド型のリソース利用や不要なリソースの放置がコスト増加の原因となります。

解決策>

  • コスト管理ツールの利用
    クラウドプロバイダーが提供するコスト管理ツール(例: AWS Cost Explorer、Azure Cost Management)を活用し、リソース使用状況を可視化します。
  • リソースの最適化
    使用していないリソースを定期的に削除し、必要なリソースのみを維持します。また、リザーブドインスタンスやスポットインスタンスを活用することで、コストを削減できます。
  • 自動スケーリングの設定
    トラフィックや負荷に応じてリソースを自動的に拡張・縮小する仕組みを導入することで、無駄なリソース消費を防ぎます。
  • 定期的なレビュー
    クラウド環境の利用状況を定期的に見直し、コスト削減の機会を探ります。

4. チームのスキル不足

課題>

クラウド移行には、クラウド特有の知識やスキルが必要です。しかし、オンプレミス環境に慣れたITチームでは、クラウド環境の運用や管理に不慣れな場合があります。

<解決策>

  • トレーニングの実施
    ITチームに対して、クラウドプロバイダーが提供するトレーニングプログラムや認定資格(例: AWS Certified Solutions Architect、Microsoft Azure Fundamentals)を受講させます。
  • 専門家の活用
    クラウド移行の経験が豊富な外部パートナーやコンサルタントを活用することで、スムーズな移行を実現します。
  • 役割分担の明確化
    チーム内で明確な役割分担を行い、各メンバーが専門分野に集中できるようにします。

クラウドリフトには多くの課題が伴いますが、これらを事前に把握し、適切な解決策を講じることで、移行プロセスをスムーズに進めることが可能です。課題を克服するためには、計画的なアプローチと専門的な知識が不可欠です。

クラウドリフトからクラウドシフト、クラウドネイティブへのステップ

ここまで解説してきた通りクラウドリフトは、既存のシステムやアプリケーションをクラウド環境へ移行する最初のステップです。この段階でも、オンプレミス環境の制約からは解放され、クラウドの柔軟性やスケーラビリティといった基本的なメリットを享受できますが、これはあくまでもスタート地点に過ぎません。クラウドシフトやクラウドネイティブへとステップアップすることで、企業はクラウドの恩恵を最大限に享受でき、競争力を強化することができます。ここではクラウドリフトからクラウドシフトやクラウドネイティブへのステップについて解説します。

クラウドリフトからのアプローチについては、大きく分けて二つあります。

  • 既存のシステムを活かしてクラウドに最適化された形に改修する「クラウドシフト
  • クラウドの特性を活かした新しいシステムを構築する「クラウドネイティブ

クラウドシフトへの移行

クラウドリフトによってクラウド環境へ移行したシステムを、クラウドに最適化された形に改修する段階が「クラウドシフト」です。クラウドの持つ柔軟性や拡張性を最大限に活用し、システムのパフォーマンス向上やコスト削減を目指します。

目的>

既存のオンプレミスやクラウドリフト(単純なクラウド移行)されたシステムを、クラウドのメリットを活かせる形に最適化すること。

<特徴

  • 既存のシステムを活かしつつ、クラウドに適した形に改善する。
  • クラウドネイティブな要素を取り入れるが、完全にクラウドネイティブ化しなくてもよい
  • まずは現行システムを徐々に改修していくのが基本。

具体的なアクション例>

  • クラウドリフトされたアプリをコンテナ化する(クラウドネイティブではないが、クラウド最適化)
  • マネージドサービスの活用(DBやストレージの運用負担を減らす)
  • CI/CDやIaC導入(クラウドの柔軟性を活かすが、完全なクラウドネイティブではない)

既存の資産を有効活用しながら、クラウドのメリット(コスト削減、運用負荷軽減など)を享受できます。比較的スムーズに移行できるため、短期間で効果を得たい場合に適しています。

クラウドネイティブへの移行

クラウドネイティブ」は、クラウドの特性を最大限に活かすことを前提に、システムを設計・構築するアプローチです。マイクロサービスアーキテクチャコンテナ技術などを駆使することで、従来のシステムでは実現が難しかった、高い柔軟性、拡張性、可用性を実現します。

目的>

クラウドの特性を最大限に活かし、スケーラブルで弾力性のあるシステムをゼロから設計・構築すること。

<特徴>

  • 前提としてクラウドをベースに設計される(オンプレやレガシー技術を考慮しない)
  • クラウドのスケーラビリティや弾力性をフル活用するアーキテクチャが基本。
  • マイクロサービス、コンテナ、サーバーレスを活用し、完全にクラウド上で動作するシステムを構築。

具体的なアクション例>

  • アプリケーション全体をマイクロサービス化し、APIゲートウェイ経由で連携させる。
  • 完全サーバーレスアーキテクチャ(AWS Lambda、Azure Functions)を採用し、インフラ管理を不要にする。
  • マネージドKubernetes(EKS, AKS, GKE)を標準採用し、フルコンテナ環境で開発。

マイクロサービスアーキテクチャ、コンテナ技術、DevOpsなどを活用することで、柔軟性、拡張性、可用性に優れたシステムを実現できます。ビジネスの成長や変化に迅速に対応できるため、長期的な視点で競争力を強化したい場合に適しています。

クラウドネイティブについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
クラウドネイティブとは?ビジネスの成長を加速させる技術を徹底解説!

クラウドリフトはあくまでもクラウド移行の第一歩であり、真の価値を引き出すためにはクラウドシフトやクラウドネイティブへと進化することが重要です。アプリケーションのモダナイズ、運用の自動化、セキュリティの強化を通じてクラウドシフトを実現し、その後、サーバーレス技術やマルチクラウド戦略を活用してクラウドネイティブを目指します。これにより、企業はクラウドの持つ柔軟性やスケーラビリティを最大限に活かし、競争力のあるIT基盤を構築することができます。

まとめ

クラウドリフト」は、オンプレミス環境をそのままクラウドに移行する「Lift & Shift」アプローチで、迅速な移行とコスト削減を実現するデジタル変革の第一歩です。現状分析、戦略策定、移行実行、運用最適化のプロセスを通じて進められますが、クラウド非対応システムやデータ移行の複雑さ、運用コスト増加などの課題も伴います。

これらの課題を解決しつつクラウドリフトを成功させることで、企業はハードウェア管理から解放され、柔軟なスケーラビリティや効率的な運用を実現できます。また、その先には「クラウドシフト」や「クラウドネイティブ」といったさらなる進化が待っています。

変化の激しい現代において、企業が持続的な成長を遂げるためには、常に最新技術を取り入れ、変化に対応し続ける必要があります。クラウドネイティブへの進化は、そのための強力な武器となります。

まずは「クラウドリフト」から、未来を拓くための準備を始めてみませんか?

アイスリーデザインでは、クラウドネイティブ導入に関するコンサルティングやシステム開発支援など、お客様のニーズに合わせたサービスを提供しています。また、オンプレミスからの移行を検討しているなど、クラウドリフトについてさらに詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

ABOUT US
Tomohiro Hayakawa
国内SIerにて、大手ECサイトや業務システムの構築・リプレイスを多数手掛け、地方銀行の地域ECモール構築や大手書籍ECサイトのリプレイスなどを成功に導く。 進捗管理、品質管理、採算管理、ニアショア/オフショア管理など、プロジェクトマネジメントに強みを持つ。 2024年1月に株式会社アイスリーデザインへジョインし、エンジニアリング部マネージャーとして従事。
  • Contact

    お問い合わせ

    アプリやシステム開発、UIUX改善など、お客さまのビジネスを成功に導いたサポート実績が多数ございます。お気軽にお問い合わせください。

  • Download

    資料ダウンロード

    私たちのノウハウや業界別の事例など、提供するサービスについて詳細にまとめた資料になります。ぜひご一読ください。

  • Mail magazine

    メールマガジン

    UI/UXデザイン・システム内製化・DX推進についてのお役立ちメソッドや、限定イベントや最新事例などをお届けします。