少し気が早いかもしれませんが、世界中の人たちがとびきりの嘘をつく日、“エイプリルフール”が今年もやってきます。
エイプリルフールの起源については諸説ありますが、すでに16世紀には4月1日にフランスで貴族が使用人に嘘をついて困らせていた、といった記録が残っているそうです。その頃、日本はまだ安土桃山代ですね。
また1698年には、イギリスの新聞に「ライオンを洗う式典がロンドン塔で開催される」という嘘が掲載され大勢の市民がロンドン塔へ足を運ぶ、といった出来事もあったそう。
さて今回は、そんな過去のエイプリルフールに起きた歴史的な嘘エピソードの数々をご紹介!
「今年はどんな嘘が飛び出すんだろう!?」とワクワクする反面、ドッキリを仕掛ける側としては毎年ネタを搾り出すのにひと苦労…なのがエイプリルフール。
いずれも語り継がれているだけあり、気合の入り方が尋常じゃありません。この時期、エイプリルイベント企画に頭を悩ませるご担当者さんのご参考になれば幸いです。
目次
モノマネ芸人が大統領になりすまして大炎上!
1992年、アメリカのラジオ番組にリチャード・ニクソン元大統領が出演し、大統領選に再出馬する声明を発表。ニクソン大統領は、議会から強い弾圧を受けアメリカ史上初めて大統領任期中に辞任した人物です。番組にはリスナーから抗議の電話が殺到。後にこの音声は芸人であるRich Littleさんのものと判明しました。大統領をネタにしたことで「炎上」にまで発展してしまったケースですね。
海外版「縦読み」。大型新人に隠された秘密は?
アメリカのスポーツ誌が「時速270キロの球を投げる大型新人投手」としてSidd Finchという選手を紹介。チベットの修道院で秘技を会得した等の来歴を掲載しました。しかし、実は見出しの頭文字をつなぎ合わせると「Happy April Fool Day(エイプリルフールおめでとう)」というメッセージが現れるという仕掛け。新聞のテレビ欄などに時おり現れる「タテ読みメッセージ」の海外版といったところでしょうか。
大手企業トップが悪ふざけにかけた情熱
1989年、ロンドン郊外に大きなUFOが現れ地元住人は大パニック。警察まで出動する騒ぎとなりました。実はこのUFO、風船で作られた真っ赤なニセモノ。仕掛け人は世界的なレコードレーベル、ヴァージン・レコードの理事長でした。彼の悪ふざけにかける情熱のもと、UFO型巨大バルーン風船を特注で作成したとのこと。セレブが本気を出して行った、人騒がせなエイプリルフールです。
あのタコベルが、歴史的遺産を買い取り
1996年、アメリカの人気ファストフードチェーン「タコベル」が、アメリカ独立戦争のシンボルである「リバティベル(自由の鐘)」を買収し「タコ リバティ ベル」とベルの名称を変更すると新聞に掲載。リバティベルを収蔵している施設には、激怒した市民からの電話が数多く寄せられました。
昨年日本上陸を果たし人気スポットとなっているタコベルですが、意外と無茶をする企業のようです。
嘘から出た誠になった?定番の宇宙ネタ
頭が良い人の発言ってつい信じてしまいますよね。1976年、イギリスの有名な天文学者がエイプリルフールに「本日、冥王星と木星と地球が一直線に並び、地球の重力が軽くなる。その瞬間ジャンプすると、少しだけ宙に浮いていられる」と発表しました。当然ウソだったのですが、「宙に浮いた」と報告する人々が多発。嘘から出た誠になってしまったのか、少々ミステリアスなエイプリルフールです。
英・大手新聞社が打ち立てたエイプリルフールの金字塔
大手新聞社「ガーディアン」が1977年、インド洋にある独立国家「San Serriffe」が独立10周年を迎えるとして、国について紹介した7ページに渡る特集を掲載。もちろん全て嘘なのですが、大手紙が多くのページを割いたことで大反響を呼びました。この一件から、イギリスのメディアは一層エイプリルフールの嘘に対し力を入れるようになったといいます。
ギャグマンガかよ!無茶した資産家のお粗末な嘘
豪・シドニーの港に突如、氷山が出現。地元の資産家であるDick Smith氏が、南極から船で牽引してきた新鮮な氷を削り、ひとかけら10セントで販売するとエイプリルフールに向け広告を出していました。しかし氷山が港に入ってきた瞬間に雨が降り出し、氷山はシェービングクリームで覆われたプラスチックの偽物だということが露呈。注目されたかったのかもしれませんが、かなり情けないオチになってしまった例ですね。
火山が噴火!大掛かりな嘘に地元民もパニック
1974年、アラスカのエッジカムという山に黒煙があがり、ふもとに住む人々は「噴火する!」とパニック状態に。その後、Porky Bickarという人物が火口に古タイヤを運んで火を点けた大掛かりなイタズラだということが判明しました。
このエピソードには後日談が。6年後、アメリカにあるセントへレンズ山が、山の形が変わるほどの大噴火を起こしたとき、エッジカム山の地元民からPorky Bickarに「やりすぎだよ!」と手紙が届いたとのこと。それだけ人々にインパクトをもたらした嘘だったんですね。
これは試しちゃうかも?白黒テレビをカラーにする裏ワザ
スマホの充電が爆速になる、肩こりが1分で治る…などなど、便利な裏ワザってつい試さずにはいられません。1962年、スウェーデンのテレビ番組が白黒テレビにナイロンのストッキングをかぶせるとカラーに変わると紹介。デモンストレーションまで行い、やり方を詳しく説明しました。おそらく多くの家庭でストッキングをテレビに被せたことでしょう…。やってみたくなりますが、当然嘘です。
エイプリルフールの王様、スパゲティー畑
最近の子どもは「鮭の切り身」が海で泳いでいると思っている、という話もありますが、エイプリルフールにおける伝説の嘘といえばコチラです。
1957年、イギリスの国営放送BBCが「スイスでスパゲティーが豊作です」と放送。茹でられたスパゲティーを木から収穫する映像まで流れました。番組内でネタばらしをしたにも関わらず、スパゲティーの育て方を尋ねる電話が殺到。
実際にスイスで撮影を行ったクオリティの高さに、人々はすっかり騙されてしまいました。
いずれも気合が入った壮大な嘘ばかり。当たり前だと思っていたものや身近なものが突然変化したり、クオリティに妥協せず全力でおこなった嘘ほど、人々も騙されてしまっている様子。
こうした嘘を生み出す苦労はありつつも、話題を呼ぶとうれしいものです。
皆さま、楽しいエイプリルフールを!