in-Pocket 編集部が新サービス開発に取り組む様々な企業にお邪魔し、プロダクト誕生の裏側 と成功のヒントに迫るこの企画。
今回は、従来のマーケティングデータでは分からなかったユーザー行動を分析、視覚的に課題をあぶりだすことで効果的改善へつなげる『USERDIVE』の開発元、株式会社UNCOVER TRUTHさんへ。どんな想いが次代のスタンダードを予感させる分析ツール開発を成功に導いたのか?代表の石川敬三さんにお話を伺いました。
株式会社UNCOVER TRUTH
代表取締役
石川 敬三さん
目次
見えなかったものが、見える。
数字に表れないものが浮き彫りに
—―大手企業が続々と『USERDIVE』を導入し始めているそうですね。まずはこの製品の特長を教えてもらえませんか?
他のツールとのもっとも大きな違いは、“これまで数字にならなかったことを数値化できる”点にあります。
「in-Page Analytics」というWebページ来訪者の動向を細かく分析できることが強みで、例えばサイト内のアクションの大小をサーモグラフィーで表せるヒートマップツールによって、ページ内のどこでどんなアクションが発生したかを詳細分析できます。
この分析結果は、PVなどの数字には表れない部分を浮き彫りにしてくれます。ページ内で迷う人や誤った操作をする人の傾向まで把握、その人たちをコンバージョンへ促すためのピンポイント改善も可能にします。
——ユーザーの動きを細かく見られるようになったことで、それまで見えていなかった課題まで発見できるようになったということですね。※
※マウスでのヒートマップの他にもサイトのどの部分を何秒間読んでいるかといった「読了率」の把握や実際のユーザーの動きを動画で分析出来るなど、大きく8つの機能を持つ。ここで浮き彫りになった数字が、次なるWebマーケティングの一手へ活かされることになる。
さらに、在籍アナリストがWebサイト上の導線を分析、サイト改善提案を行うサービスも。課題抽出から解決までをワンストップで行えることが、大手企業に対する導入へ繋がっているという。
USERDIVE機能一覧
悪戦苦闘のサイト改善…
疲弊する心の中で見えた光明
——サービスの“きめ細やかさ”も、評価の高さにつながっていそうですね。そもそもどんな経緯で『USERDIVE』の開発がスタートしたんでしょうか?
以前所属していた株式会社VOYAGE GROUPの中で、BtoCのECサイト改善のためひたすらA/Bテストを繰り返していた時期がありました。ずっとA/Bテストを続けて、300個くらいボタンを作っていると、もう心まで疲弊してきちゃって…(笑)。その時に、『USERDIVE』のような精度の高いマーケティングツールがあれば、もっと改善点を絞った対策ができるんじゃないか、と。さらに当時は、UIにフォーカスしたリサーチ市場が拡大してきていて、まだまだ拡大する機運を感じたことも事業をスタートする後押しになりましたね。
全く予想外のサイト内行動。
EC担当も驚きのユーザー心理とは
——そんな苦労の末に生まれた『USERDIVE』。これまでの分析案件の中で、一番驚いたエピソード教えてください!
大手書店さん複数社で運営する書籍ECサイトでの分析案件に携わった時のこと。メインユーザーは、40代〜50代が中心だったのですが、サイト内にあるエントリーフォームでの動向を分析してみると、内容を入力したにも関わらず送信ボタンに辿りつけない人が約半数もいることが判明したんです。送信ボタンがファーストビューに入っていなかったからでしょうね。スクロールすればすぐ表示されるこのボタンの存在に気付かず、最終的に画面上部にある申し込み手順の次ステップボタンを手当たり次第にクリックするケースが多発しました。
この現象からもスクロール方法が分からず、サイト内で右往左往するユーザーの行動心理が手に取るようにわかりました。担当者さんもまったく予期していなかった分析結果だっただけに、かなりびっくりされていました。僕も正直意外すぎて驚きましたけど(笑)。
USERDIVE分析レポートのイメージ
「考えること」を、ただひたすらに。
プロダクトの具現化は、「個」がありき
——ユーザーの年齢層によってネットリテラシーがこんなにも違うんですね。ちなみに、プロジェクトにつながるようなアイディアを生み出すために、ふだんから心がけていることはありますか?
ひとつ挙げるとしたら、「とにかくひたすら考える!」ということ、でしょうか。
これだけインターネットが普及した時代ですから、やりたいことの種はネット上にいくらでも落ちています。「そんな情報ないよ」という人は、ただ調べていないだけ。「情報はあるけど、良いアイディアが浮かばない」という人は、考えていないだけ。僕自身が、そう考えてしまうタイプなんですよね(笑)。
そのアイディアをプロダクトとして形にしていくためには、プロデューサーの存在が欠かせません。最終的には個の力。「環境が…」「会社が…」ではなく、最初の一歩を踏み出すのは一人の人間ですから。問題は、その役割を担う人間をきちんと社内で立てられるか、ですね。とはいえ、そういった人や社内文化を育てる方法は分かりません。だって、まだ僕らも動き出したばかりですから(笑)。
プロダクトアウトに関わる誰しもが、「自分が求心力と実行力を持って一歩目を踏み出す人になる」という意識を持つことが大切なのかもしれませんね。
「検索」の先にある、Webのミライ。
その理想を叶えるための一助でありたい
——シンプルですが、基本中の基本かもしれませんね。最後に、「『USERDIVE』で社会をこんな風に良くしたい!」といったビジョンを教えてもらえますか?
僕は、人間の記憶量を越えたり、距離的・時間的概念を簡単に越えられるインターネットという存在がめちゃくちゃ好きなんです。でもその一方で、いまだインターネットを使う人の90%以上が「検索目的」と言われています。例えばGoogleで検索したらその先、肝心要の実際に情報を得たりアクションを起こしたりするサイト本体のサービス品質がまだまだ発展途上なんですよね。
例えば、海外のレンタカーサービスでは、車を使いたい日時と場所を指定すれば、どんな車種をどの店舗で予約出来るかひと目で分かります。対して国内の場合は、まずは店舗を選び、その店舗のラインナップを見て、そこから空き状況をチェックして…というケースがほとんど。該当店舗に10車種ラインナップがあったら10回空き状況の確認が必要になる計算です。この不便さがレンタカー以外にもあらゆる分野で弊害として出てきてしまっていると思います。
どんなに検索エンジンが利用されても、最終的なアクションが行われるのは検索の先にあるサイト本体。だからこそ、この『USERDIVE』を使うことで、もっとユーザーがアクションしやすいサイトづくりに繋がるはず。企業にもユーザーにも、大きなメリットをもたらす存在でありたいですね。
株式会社 UNCOVER TRUTH
http://userdive.com/
Webサイトを訪れたユーザー行動を詳細に把握できる分析ツール『USERDIVE』を武器に、分析業務のサポートまで請け負う。PVなどの大まかな数字では分からない課題の抽出から改善策の提案、効果測定までのPDCAをワンストップで回すことができる。導入企業からはその有効性を示す結果が数多く報告されており、とある通信系企業では、導入翌月からコンバージョンレートが150%向上した実績もあるなど目覚しい効果をあげている。ヒートマップなどを使ったin-Page Analyticsを提供する企業は国内にわずか4社。市場における先行者として、ますます活躍が期待される企業だ。