2016年5月2日

UI/UXデザイン

意外と知らない独アプリ事情、収益で圧倒的な強さを見せたのはやっぱりあの企業でした

ファウンダー兼CEO

2016年4月中国のアリババ・グループが、東南アジアを拠点とするeコマース企業ラザダ(Lazada)を約10億ドルで買収し注目を集めました。買収されたラサダは、まだ日本ではあまり知られていませんが、ドイツ人のロケット3兄弟が運営するロケット・インターネット社による投資を受けていたのです。このロケット・インターネット社は近年、欧米で流行っているモデルを模倣し、オリジナルのビジネスモデルである企業への売却を繰り返しています。(実は、「おせち騒動」のグル―ポン日本法人も、実はロケット兄弟が仕掛けた会社です。)

前回、彼等の本国であるドイツのアプリ市場収益と人気アプリランキングレポートを書きました。今回は、ドイツで収益を伸ばしているアプリのパブリッシャーについて深く見ていくことにしましょう。

「Clash of Clans」のSupercellはiOSもAndroidも圧倒的

まずは2015年の1〜12月に行われた、ドイツのアプリパブリッシャーの収益ランキングをみていきます。

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・調査期間:2015年の1-12月の間
・集計:Rockstars Marketing online
・データ元:Priori Data

iOSとAndroid、どちらのランキングでも、前回書いたアプリ事情レポートでダウンロード数が多かったゲームアプリのパブリッシャーが非常に強いことがわかります。特に「Clash of Clan」や「Hey Day」「Boom Beach」などの人気ゲームアプリを排出しているSupercell社は圧倒的と言えるでしょう。
2位のKingもキャンディークラッシュで有名な英国ゲームアプリパブリッシャーですね。2014年4月に日本法人「King Japan」を設立しました。
残念ながら、2015年のパブリッシャートップ52に入った日本のパブリッシャーは入っていないようですね。

ドイツのアプリの市場規模は、売上は日本の3分の1以下!?

ドイツアプリ市場

そんなドイツのアプリ市場規模は、2014年時点の数字ですが17億ドル。この売上は日本の3分の1以下で、ドイツのアプリ開発市場は意外なほど小さな市場といえるようです。

ユーザーは基本的に無料アプリをダウンロードしており、アプリ内収益も15%に満たないという結果。そもそもユーザーによる課金自体が盛んには行われていない様子です。そうした市場で、ゲームアプリ開発会社はマーケティングに巨額を投じており、特にドイツにおけるアプリ市場の3分の2以上を占めているSupercell社はスーパーボウル中のコマーシャルを始め、広告に20144億ユーロに投資しているとのこと。

アプリを出しているドイツ系企業の本業とは!?

それでは、上記のランキング入りしているドイツ系企業を見ていきましょう。

まずドレスデンに拠点を置いている人気デートアプリLovooは、ゲーム系アプリ以外で最も成功しており、ドイツだけでなく海外に独立したプロバイダを確保しています。そしてもともとモバイル向けのGPS関連のサービスを提供していたGarmin社による、カーナビアプリGarmin würzburg。またランニング&ウォーキング運動記録アプリRuntasticは、もともとオーストリアのRuntastic社開発したものをアディダスが買収したという経緯があります。そして料理レシピアプリThermomixを提供するVorwerk International社は、アプリ開発会社ではなく実は家庭用掃除機を中心にクリーナーを主な商材として扱うドイツの老舗企業。

こうして見ていくとランキングに登場する多くのゲームアプリ開発企業は非ドイツ企業であり、逆に成功しているドイツ系企業はほとんどが非ゲームアプリ企業なのです。海外におけるロケット・インターナショナルの知名度を考えると、さぞかしドイツにも我々が知らないだけでホットな会社があると思いきや、意外に見当たらないという結果になってしまいました。ドイツのアプリ市場などの背景を鑑みると、ドイツ人でありながら海外をメインに投資活動を広げているロケット3兄弟の偉大さを改めて感じます。

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Yoichiro Shiba

ファウンダー兼CEO

大手シンクタンクにて金融機関むけのシステムコンサルティング業務に従事後、ソフトバンクにて海外ベンチャーキャピタルとの折衝、投資案件のデューデリを担当。当時ソフトバンクグループ会社内の最年少役員。その後、一部上場企業を対象に投資事業ポートフォリオ再編、バイアウトのアドバイザリー業務を提供、複数のIT企業の役員歴任。ロータリー財団の奨学生としてドイツBielefeld大学にて社会哲学を専攻。

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