先日アマゾンジャパンが物流代行サービス「フルフィルメント by Amazon(FBA)」を強化すると発表した。
一見地味な発表だがそのインパクトは意外と大きい。大型化によりこれまで扱えなかった小型冷蔵庫など対象商品はぐっと広がる。消費期限制限が30日以内と半分になることで食品の範囲も広がる。ワインの低温管理なども実現される。要するにAmazonの自社サービスにおける高度な物流をAmazonに出店する事業者が簡単に利用することができるということだ。
公式サービスサイト:フルフィルメント By Amazon
これまで楽天やヤフーなどに出店していたECショップがAmazonにもどんどん出店するようになるだろう。最短1時間で届くPrimeNowサービスの対象地域もどんどん広がっている。Prime会員であれば無料でも2時間で夜中の12時まで届けてくれる。
もはや生活必需品のある程度はスマホで簡単に手に入るようになってしまった。雨の日は近くのコンビニに行くよりもアマゾンでいいかと思えるレベルだ。こうしたAmazonの物流含めたECにおける利便性の提供は他社をどんどん突き放してますます高まるばかりだ。
メルカリもスマホの手軽な出品、購入で若者や主婦の利用を増やしている。オークションの楽しさよりも素早い手軽さを求める利用者の潜在的なニーズを見事に取り込み、誰もがもうC2Cの売買では勝てないと思っていたヤフオクの牙城を確実に奪い始めている。
世の中に無いユニークな商品を探して購入する参加型サービス
一方でエンターティメント性で注目するべきはクラウドファンディングだろう。当初はプチ投資家を募るという世界観が強かったが、最近では世の中に無いユニークな商品を参加型で探して購入するというエンターティメント性のECサイトという感じで利用者を伸ばしている。中でもサイバーエージェントの展開する「Makuake」というサービスは前年比3倍という勢いで伸びている。
長らく楽天やヤフオクを中心に成長してきた日本のEC市場の景色は変曲点に来ていると言えるかも知れない。それは徹底した利便性とエンターティメント性のどちらかで差別化できなければ、巨大なECのプラットフォーマーですらあっという間にその地位が入れ替わる時代が来るかも知れないということでもある。
誰よりも早く顧客に販売して届けてあげるアマゾンと売りたい人と買いたい人を簡単に素早くつなげてあげるメルカリとまだどこにも無い商品を世の中に出すことを支援するMakuakeというこの3社のプラットフォーマーの成長はまさにEC市場の変革を感じる動きだろう。違う見方をすればアマゾンの巨大化はますます進むとしても、まだまだ工夫しだいで新興勢力のプラットフォーマーにも十分参入の余地があるとも言える。まだまだ日本のEC市場にもイノベーションは期待できるということだ。