既存の方法論ではなかなか答えの見つけられない厄介なビジネス課題に対するアプローチとして、デザイン思考が注目されています。しかし一方でデザイン思考そのものを従来のビジネスフレームワークの延長にあるひとつの技法として捉えたままプロジェクトをスタートしてしまったことで、その効果を十分に享受されていないプロジェクトも多いようです。そこで今回は、アイスリーデザインが重視しているプロジェクトの設計段階における3つのマインドセットについてご紹介したいと思います。
目次
ゴールに対するマインドセット
顧客が行動するのは、企業のためではなく、自分自身の欲求を満たすためです。しかし、現実のプロジェクトでは、「どのようにすれば自社の製品を買ってもらえるか」、「自社を好きになってもらえるか」という問いを起点にプロジェクトのゴールを設定してしまいがちです。このような問いの問題は、顧客の態度や行動を変える手段の検討に終始し、顧客の欲求や願望について深く考えなくなってしまう点にあります。サービスデザインのプロジェクトの一つの醍醐味は複数の組織を顧客の視点で結びつけ、組織サイロを超えた体験の実現にあります。意識的に問いを顧客の視点に置き換え、部門を超えて協力できる所有感のあるゴールをつくることが重要です。
プロセスに対するマインドセット
デザイン思考のアプローチは共感・学習を重視します。不確実なものを受け入れ、五感を使って体感・理解し、いかに早く学習していくかという心構えが求められます。
ビジネス側の作法としてはベストな回答を求めて分析を繰り返し、組織のレポートラインに正確に報告する。ということを望まれます。
デザイン思考のアプローチでは、顧客の体験を生々しく共有し、ベターを求めてどれだけ実験を繰り返せるかという視点が大切になります。
もちろん、ビジネスとしてどう勝算があるかということを検討する必要はあります。一方でもうひとつ大事なのは、合理性客観性を重視するビジネス側の作法と主観、インサイトを重視するデザイン側の作法の両方を理解した上で、そこを行き来していく、という考え方です。
チームに対するマインドセット
一連の取り組みによって生み出されたコンセプトやアイデアが顧客のニーズや組織のゴールと合致していることはもちろんですが、最後はそのことをメンバー自身が実現したいと思えるか?という視点が非常に重要です。プロジェクトに参加する人はそれぞれに意味や目的を持っています。なぜ自分は参加するのか、自分が参加して得たい個人的な成果は何か、プロジェクトチームの編成段階で共有しておくことが大切です。メンバーが達成したいことが見えることで部門や組織を超えて本当の意味での協力が始まります。
アイスリーデザインではプロジェクトを具体的に始動する前に、ステークホルダー間でゴールやマインドセットを共有しながらプロジェクトの全体像を描くプロジェクトデザインセッションを提供しています。部門を超えたチームビルディング、また経営陣とプロジェクトメンバーがともに目標を共有するための場として、ぜひご活用ください。
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