リフレーミングとは、ある出来事や物事を、今の見方とは違った見方をすることで、それらの意味を変化させて、気分や感情、物事の捉え方を変えることです。
たとえば、仕事で失敗したときに「自分は駄目だ」と見るか、「次のために良い経験をした」と見るかで、感じ方が変わります。
今回はイノベーションの起点となる「リフレーミング」についてご紹介します。
トム・ソーヤのペンキ塗り
そもそも、リフレーミングとは何なのでしょうか?
リフレームの事例として有名な「トム・ソーヤーの冒険」のエピソードでみていきましょう。
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罰として塀のペンキ塗りを言いつけられたトムがペンキを塗っていると、ベンがやってきて、トムをからかいだします。
「僕らはこれから泳ぎに行くけど、君はいけるかい?ああ、君はお仕事だったね。」
しかし、トムはその言葉尻をとらえて、こう切り返します。
「お仕事って何のこと?」
これにはベンも言い返さざるを得ません。そのペンキ塗りが仕事でないなら何だっていうんだ!?と。
しかしトムは実に楽しそうに、そして優雅にペンキを塗り続けます。そうしてこう言い放つのです。
「そこで見てみな、そうしたらこれがどんなに楽しいか、君にだってわかるだろうから。」
結局、ベンはトムが楽しそうにペンキ塗り姿に見惚れ、
「ねえトム、ちょっとでいいから僕にも塗らせてくれない?」と漏らします。
老獪なトムは散々断った挙句、どうしてもというならとベンに対価を要求して、ペンキ塗りをかわってもらい、その代金まで受け取ってしまうのです。
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このエピソードに込められたリフレームは何でしょうか。
トムがやったの、は同じ事態を新しい光で照らすこと、すなわち(罰としての仕事)を(譲りたくないほどの楽しい行為)としてリフレーミングすることでした。
ペンキ塗りという行為の自体は何一つかわってなくても、その捉え方、意味を大きく変化させているのです。
問題のリフレーミングからはじまるイノベーション
革新的なプロダクトやサービスは、ある意味このリフレーミングによって問題を捉えなおしたことで、これまでとは異なる解決方法を探索しています。
例えば、自動車。フォードの創始者であるヘンリー・フォードは生前下記のように語っています。
「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、
彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。」
これまでの問題の捉え方は”馬車”という移動手段に焦点を当てているので、アイデアは(より速い移動ができる馬車)の枠組みを超えることはありません。
それに対してフォードは、”より速く効率的に移動したい”という問題にフォーカスをあて、リフレーミングし、再解釈しています。そこで別に馬車にこだわる必要はないと気づき、新しい移動手段としての自動車という答えにたどりつきます。
このように、革新的な商品、サービスは、問題自体を捉え直し、再定義すること( = リフレーミングすること)からスタートしているのです。
リフレームによって組織のバイアスを超える。
一般的には、5年以上にわたって同質的な集団に所属していると組織の境界線の外にある情報や知識を吸収しなくなり、業界、組織のバイアスの中だけで発想してしまうと言われています。
無意識のうちに身体に染み付いた組織の原則、基準、手順、前提、習慣、常識、通念 思考様式。これらによって過去の延長線上で問題を捉え、効率的に処理しようとする意識がはたらき、「問題そのものを捉えなす」という(一見非効率な)プロセスを割愛してしまうのでしょう。
しかし、真に新しい発想やアイデアは既存の枠組みからは生まれません。
これまでとは異なるモノの見方、捉え方を引き出すことで、無意識に諦めていた側面に気づいたり、より大きな全体の中の一部としての自社が提供しようとしている価値を再解釈する。
イノベーションにはこのようなリフレームのプロセスが欠かせないではないでしょうか。
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