当社(株式会社アイスリーデザイン) 執行役員 CROの山本 真吾がEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 パートナー 吉本 司氏、林 大介氏らと共催で、「経営者にYESと言わせるDXプロジェクトの推進方法を伝授!」をテーマにオンラインセミナーを2022年1月18日(火)18時より開催いたしました。先日のセミナーレポート第1、2弾に続き、今回は第3弾になります。
セミナーレポート第1、2弾は下記からご覧いただけます。
ここから、セミナーレポートと題して纏めていきます。
セミナーはファシリテーターとして弊社山本が進行し、ディスカッション形式で行いました。このパートでは実際のセミナー内容を抜粋しご紹介したいと思います。今回のセミナーアジェンダは大きく3つのテーマで構成しています。今回はその内容を3つのセクションに分けて連載させて頂きます。
【アジェンダ】
1.コロナが我々に気づかせてくれたこと
2.企業のDX担当者が抱える課題
3.DX推進で乗り越えるべき壁
目次
3.DX推進で乗り越えるべき壁
山本
さて、いよいよ最後のテーマの「DX推進で乗り越えるべき壁」ということなのですが。吉本さん、どうなんでしょうか。こういう「まずはやってみよう」とか「やりながら軌道修正をしていく」といった企画内容、上申内容ではなかなか承認されにくい。という現場の実態に対して、何か解決策やアドバイスといったものはありますでしょうか。
吉本
しっかりした経営者の方は、DXを進めるという事自体が成果が確証されたものではないと分かってらっしゃる。大袈裟かもしれませんが、未知の領域に飛び込んでいくといった事を分かってくださっております。そういった中で、担当者は不確実性がわかるタイミング、ここでこれを目指している、次はこれを作戦立てているというのをしっかりと最初から説明すること、そして途中の変更を含め、失敗や大幅に右にカーブするということを経営者やスポンサー、役員の方達と一緒に進めていくことが重要だと思います。これを共にしっかり作り上げていくことが非常に重要です。
現場だけでDXを進めるというのは、個人的な見解としてはNOだと思ってます。会社が一枚岩で大きく変わるときには、やはりトップのスポンサーとも一枚岩にならなければならないので、しっかりとここを口説きにいくことが一番大事だと思っております。コミュニケーションを取れる関係性を作り、不確実な世界に共に飛び込んでいく。ここをやることが非常に重要だと思っています。
現場の領域でいくと、カスタマーエクスペリエンスをあげるのである。NPSをあげるのである。コンバージョンレートをあげることである。爆速に顧客を増やすことである。とかいろんなことが指標としてメッセージをされるんですが、経営者の方はもう一つ視座を上げて頂き、それによってうちの企業は儲かるのですか儲からないのですか?と企業として成長するのかしないのか。と。
株主に対して今自社が抱えている問題・課題を明確に語り、そこに対してどのくらい投資するのかを説明しなくてはいけないので、そこのストーリーをしっかりと作り込むこと。経営者様、役員様が自らの頭で咀嚼し、DXを語れる様になること。それが大事。そういうことをわかりやすく伝える力も大事になってくるのではないかと思います。
山本
吉本さん、有り難うございます。
林さん、今の吉本さんのお話しを聞いてても、社内ステイクホルダの上手な巻き込み方など参考になるポイントが多々ありましたが、逆に下からの推進、いわゆるボトムアップからのプロジェクト推進方法などでアドバイスとかありますでしょうか。
林
例えばですが、担当者が経営サイドに提案をする際に、テーブルを挟んで正面に座ってコミュニケーションをとってしまうと、「お願い」するコミュニケーションになってしまう。進め方の体制として横や斜めに座って会話をしながらやっていくスタイルが強いと思います。とにかく正面に座らない!それだけでも変わってくるかと思います。こういうコミュニケーションのとり方を意識するだけでも相当変わってくると思っています。
山本
目的に対して同じ目線でゴールを設定し、向かっていくという話ですね。
吉本
なぜDXしなければならないのかといった点で言いますと、DXを推進する企業は内部に有識者もいるとは思いますが、外部の有識者を政府団体含めしっかりとファクトを抑えてファクトベースで、なぜやらなければならないのかというところ、今の変化とこれからの変化についての意識合わせをしておかないと、なんでやらないといけないんだっけ?これやるんだっけ?と途中からなってしまうので、そういうものから内部で検討して調査をするのもありだと思う。それを踏まえて内部でできること、コンサルティングファームなのか、有識者会議なのか団体なのかを取捨選択されると良いと思います。
林
先程も申し上げましたように、DXは本当にダイエットと一緒だと思うんです。
ちゃんと寝ましょう。食生活ちゃんとしましょう。ちゃんと運動しましょう。というように、ダイエットと一緒で企業が基本的なことをやればよりスタイリッシュになれると思うんです。まずは、手につけられてない生活習慣病があるという現実を受け止め認識する必要があると思ってます。
ボトムからどの様に進めていくかという話をさせていただきたいのですが、目線を合わせるというのは理想的だと思いますが、現場の人間が経営に目線を合わせていくのはもっと大事だと思ってる。下から合わせにいくのが大事ということです。
そこの大きなポイントとして、一つは言語を合わせること。経営の方が使ってる言葉に合わせていくことが大事。
例えば一つの例で、私のお客様の事例の話ですが、どうしてもDXという言葉を使い続けていると頭が投資になってきてしまう。具体的には、DXという言葉を使った瞬間にネガティブなイメージを持たれる役員の方がいるとします。
その方と会話を続けていくうちに、従業員が輝くともっと自分たちの会社って成長できるよねっていうのを経営者の目線で語ってらっしゃった。つまりこの方にとっての響く言葉は、EX(エンプロイー・エクスペリエンス)だったんです。これは、我々従業員がしっかりクオリティを上げていくための施策なんです。つまりEXなんです。といった瞬間に急にドライブがかかったんです。つまり言葉を合わせにいくことは本当に大事だと思った出来事でした。
二つ目はリーダーシップに期待しすぎない。
リーダーを盛り立てる、自分たちのフォロワーシップを上げることに注力するということです。これをやるだけで、自然と突破する切り口が見えてくるかなと思います。リーダーとフォロワーの関係は対等なので、ここの関係性ができてからやっと車輪が回り始めると思います。
山本
とてもいいお話ですね。
ちょっと当たり前の質問になるかもしれませんが、いいリーダーシップとかリーダー像とはなんでしょう?
林
決断と修正が早い方だと思います。間違っていたら、間違えを認め修正をする。そういう決断と修正の速さ。周囲に対する感謝を持ってる方。そしてDXに関していうと、楽観的な方の方がいいと思います。やはりダイエットはきついので笑
吉本
時間軸を自分よりも少し先を見てる人。不確実性も含めて飲み込んでくれて、我々とも共有をして走ってくれる人。
そういう方とは、一緒に走れるなと思います。安全性というかそこをも受け入れてくれている中で一緒に走れる人。
ダイエットはきついので、食事制限や、汗もかかなきゃいけない場面もある。そこにストレスフルな汗とか、そういう心理的な安全性を担保できない汗はかく意味もなく、それほど無駄なことはないと思います。
本当に汗をかかなきゃいけないところで、しっかりと走りたいとメンバーと汗をかける人だということですね。
そういう方が会社の中で「変革」を作り出せる方だと思います。
吉本
御社だったり我々のような経験値や手法を持った人間達がサポートすることで速度や品質は上がっていきます。
しかし大前提として、Xヘ対する思い、Xに対する変革、環境は大前提として必要ですよね。
山本
そうですね。
「思い」や「熱意」というものは大事ですよね。
例えば、リーダーやフォロワーもいないという会社様へのアドバイスは何かありますか?
林
ゼロではないから切り口を探して欲しい。
それこそ、我々のようなコンサルタントを使ってくださるのもいい方法だと思います。
感化されて変わる方、結構見てきているので。
山本
みなさま、有難うございます。まだまだ話は尽きないのですが、時間もお尻が迫ってきておりまして・・・、また視聴者様からの質問もいくつかきておりますので、そちらを見ていきたいなと思います。
質疑応答
Q1.DXで一番大切なことはなんですか。
林
悲観的にならないこと。楽しんだもの勝ちだと思ってます。
繰り返しますが、ダイエットと同じで楽しんだもの勝ちだと思います。
吉本
自分の言葉で戦略を語れる様になること。ポイントは、情景、状況をイメージして語れる様になることが大事です。
例えばダイエットに例えるならば、素敵なスーツを着て彼女とディナーに行くようなものです。自分の言葉で、一人称で語れる様になる。そのように熱意を持って、語れる様になった方に沢山の情報が集まってくるので。
山本
まさに熱意を持って「自分ごと(事)」にするということですね。
Q2.DXを推進していく上で失敗を許容する文化が必要であると言われますが、「成果」の考え方をどのように経営層に理解してもらうのが大切でしょうか。
林
経営の中での成果となると、どうしても数字になってしまうと思いますが、数字に近い話が定義としては正しいと思います。ただそれが売上数字なのかといったらそういう話ではない。例えば先ほど話したDX、EXの話では無いのですがEXは測れると思うのでそこを図ってみたり、数字には勿論こだわって欲しいんですが、小さく勝利を勝ち取るための定義は大事で、小さなwinの枠組みを作る事が大事。この領域のKPIはこう。ここのスコアはこうなる。この売り上げはこうなる。そうやって決めて実行していく。
例えば結果論として、そこに届かなくても仮説が証明される。このように、階段を少しずつ上がりながら、仮説検証型の進め方をトライし続け、ダイエットできるんですよ(綺麗に痩せられるんです)ということを経営と一緒に確認し、握っていきながら、コミュニケーションをとっていくことが大事だと思います。
吉本
なぜこれが今必要なのか。ここを経営層としっかりと握ることが大事だと思います。例えば何列もリスクヘッジを走らせておく、そこを一緒に考える。一つこけたとしてもそこから学ぶ、そして一緒にストーリーを作りに行く。共に歩み学んでいく。そのような思考が重要だと思います。
Q3.DX推進にあたり、各種部門内ではそれなりに取り組んでいるものの、自分の立場から見るとそれは部分最適になりがちで全体的にはインパクトが弱いと感じております。全社を巻き込んだような取り組みにしていくのに何か具体的なアドバイス等ありますでしょうか。
林
シンプルに部分最適はそんなに悪いとは思わないです。ダイエットと一緒で、二の腕や顔が小さくなるというのはありだし、そういった小さなことを波及させてDXのうねりを作っていく。ここにこそDXの意味や価値はあると思う。
ただ一方で、部分最適だけが進んでしまうといびつになってしまうので、この部分とこの部分は協力しないとこの問題は解決できないと定義さえできていれば、あとはやり切る覚悟の問題だと思います。
吉本
縦割りというものは日本企業がこれまで言われてきたことだと思います。ひとつひとつのファンクション(機能組織)での成功事例を横展開していったり。逆にいうと、日本はこれまでいうとJOB型というよりも、会社への就業という形だったので横のコミュニケーションはある意味取れていると思うので、そこを上手く利用して進めると良いと思います。部分最適を何個も繰り返すことが逆に成功になっていくこともあると思います。限られた時間の中でどのように変革し、よりスピーディーにより品質を高く達成するというのは部分最適も一つの戦術だと思いますね。
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