マーケティングデータプラットフォーム Coreka

株式会社マクロミル

アイデア発想を支援するデータプラットフォームSaaS「Coreka(コレカ)」のUI/UX設計全般をサポートしました。このプロダクトは、市場・生活者データを活用し、商品開発におけるアイデア発想を支援するSaaSです。弊社はユーザーのニーズと目的に合わせた最適な情報設計とビジュアルコンセプトの設計に注力しました。

マーケティングデータプラットフォーム Coreka

Overview

概要

商品開発のアイデア発想を支援するSaaS「Coreka」のデザイン支援

マーケティングという領域は非常に広範ですが、本質的には「ものが売れる仕組みを作ること」を目指しています。その起点となる「ものを作る」フェーズに求められるのは、市場のニーズを的確に捉え、適切なターゲットに向けて商品設計を行うこと。しかし、消費者の深層的なインサイトを理解し、革新的なアイデアを生み出すのは容易ではありません。

2025年1月、マクロミル社がリリースした「Coreka(コレカ)」は、同社が保有する130万人規模のパネルを活用し、データ収集・分析からアイデア創出までをサポートします。とりわけ、多様な情報探索モードに対応する洗練されたUI/UXと、直感的な操作性を実現したデザインが特徴です。

アイスリーデザインは、このプロダクト開発において、UI/UX設計全般をサポート。特に、ユーザーのニーズと目的に合わせた最適な情報設計とビジュアルコンセプトの設計に注力しました。

今回は、Corekaのプロダクトマネージャーである丹治さん、アイスリーデザインからはプロジェクトマネージャーの今野、デザイン部の部長として監修を務めた佐々木の3名に、開発の背景や成果について伺いました。

クライアントの課題

労働集約型ビジネスモデルからの脱却

アドホックリサーチで高い売上を上げていたが、労働集約型であるため利益率向上が課題となり、より収益性の高い新たなビジネスモデルの構築が求められていた。

パネルアセットを活かした新規事業の構築

同社は自社の大規模なアンケートパネルという柔軟にデータを蓄積できるアセットを保有しており、自社データを生かしたビジネスに大きな可能性があると考えていた。

直感的に使えるUI/UXの必要性

SaaS型のツールとして展開するにあたり、導入のハードルが低く、データリテラシーが高くない方でも直感的に使えるUI/UXを実現することが重要だった。

i3DESIGNの解決方法

直感的に使えるUI/UXの設計

SaaSサービスの継続利用を促すため、ユーザーが迷わず操作できるUI/UXを設計。ボタン配置や導線設計を工夫し、初見でも直感的に操作できるインターフェースを構築した。

論理的アプローチに基づくデザインの確立

論文やリサーチを基にした理論的なデザインアプローチを採用し、納得感のある成果物を提供。

情報探索の理論を活かした機能設計

人がどのように情報を探し、発想を生み出すのかを分析。その結果をもとに、フィード機能や履歴機能を設計し、直感的で効果的な情報探索を実現した。

Interview

インタビュー

論理的な提案と高品質なデザインが発注の決め手

左から、アイスリーデザインの今野、Corekaのプロダクトマネージャーである丹治さん、アイスリーデザインの佐々木

左から、アイスリーデザインの今野、Corekaのプロダクトマネージャーである丹治さん、アイスリーデザインの佐々木

―― 本プロジェクト開始の背景を教えてください。

丹治さん

マクロミルは「アドホックリサーチ」で大きな売上を上げ、お客様から高い信頼を得ています。一方で、労働集約型のため利益率向上の観点で課題もありました。また、経営課題として「新しいビジネスモデルの構築」が求められており、当社が保有する130万人のパネルを活用し、気軽にデータを取得できる収益性の高い新たなビジネスモデルの構築に取り組むことにしました。

―― 本プロジェクトのパートナー企業として、アイスリーデザインにご依頼いただいた理由を教えてください。

丹治さん

新たなSaaS型のビジネスモデルの構築は当社にとって大きな挑戦であり、お客様に継続的に使っていただくことが重要です。そのため、直感的で使いやすいUI/UX設計が不可欠です。そこで、UI/UXに強みを持つ外部パートナーと進めることを決め、複数企業にコンペ形式で提案を依頼しました。その中でアイスリーデザインさんは、提案が論理的かつ理論に基づいており、事例のビジュアルデザインの完成度も高かった点が印象的でした。

提案の度に新たな視点を提供してくれた「ベンダーではなくパートナー」

提案の度に新たな視点を提供してくれた「ベンダーではなくパートナー」

―― 課題をどのように解決していきましたか?

佐々木

課題解決のためにさまざまな手段を展開しました。

まず、プロダクト内の概念整理には、概念の関係性や抽象度を考慮しながらUIを設計する「オブジェクト指向UI(OOUI)」を取り入れています。たとえば、当初「ターゲット」と呼んでいた分析画面について、「その中身は何を指すのか?」を再検討。また、マーケターの業務理解を深めるため、ユーザー情報をもとにペルソナを作成し、カスタマージャーニーマップを用いて思考プロセスを可視化しました。

さらに、「クリエイティブな発想を生み出すプラットフォーム」を実現するため、論文もリサーチ。その結果、情報探索には「目的の有無」や「能動的/受動的」など異なるモードがあることがわかりました。また、「ベリーピッキングモデル」という行動モデルを参考に、フィード機能や履歴機能、関連コンテンツを提示する共起機能などを設計しました。

検索と探索 探索のモード 探索のモード 探索のモード

Corekaのパーソナリティ設計には、ユングの理論に基づく「ブランドアーキタイプ」を活用。12のキャラクタータイプの中から「ジェスター(楽しさ)」「セージ(知的さ)」「エクスプローラー(探検)」の組み合わせを選定し、ムードボードを作成。比較検討を重ね、「ひらめき」や「知的なイメージ」をデザインの基盤としました。

12 types of brand archetypes
丹治さん
丹治さん

感覚的になりがちなデザインプロセスを論理的に説明してくれたので、信頼して進められました。「Why(なぜそうするのか)」の論理性と「How(どのように実現するのか)」のクリエイティブのバランスが絶妙で、データ重視の弊社とも相性が良かったと感じています。

特に、ブランドアーキタイプの明快なプロセスのおかげで、メンバー間で共通認識を持てたことは大きな成果です。追加機能やデザイン検討だけでなく、事業設計にもポジティブな影響を与えました。現在進めているCorekaの広告展開にも、このパーソナリティを活用できています。

佐々木

私たちは指示通りに作るのではなく、より良い形を提案し、納得感のある成果物を提供することを重視しています。そのため、デザイン組織として「プロトタイピング思考」が根付いています。これは、複数のバリエーションを試作し、それぞれのメリット・デメリットを明確に言語化しながら最適なデザインを探ります。この考えを基本にすることで、より納得度の高いデザインを生み出せると考えています。

―― アイスリーデザインの対応全体について、どのように感じられましたか?

丹治さん

非常に満足度が高かったです。単なるベンダーではなく、パートナーのように感じました。依頼に対して単一の提案ではなく、必ず複数の選択肢を提示してくださり、新たな視点や気づきを得る機会が多かったです。

現在も運用担当の方からさまざまなご提案をいただいており、アイスリーデザインの文化や考え方が会社全体に根付いていることを実感しています。

直感的なUI/UXが高評価 今後は機能拡充が課題

直感的なUI/UXが高評価 今後は機能拡充が課題

―― プロダクトの中で、個人的に気に入っている部分を挙げるとしたらどこですか?

丹治さん

ロゴデザインですね。Corekaのコンセプトとデザインの楽しさが融合し、非常に納得感のある仕上がりになりました。制作プロセス自体も楽しかったです。

Coreka Logo Story
今野

ロゴ制作は、ブランドアーキタイプの「ジェスター×セージ×エクスプローラー」の人格をもとに進めました。ジェスターの「楽しさ」とセージの「知的さ」を表現しながら、Corekaが支援する「発想」から「ひらめき」というキーワードを導き出しました。そこから四角い星のモチーフが生まれ、弓矢のようなモチーフを組み合わせるという発想が展開されました。背景には神話のエピソードも組み込まれています

―― ユーザーの皆様からの反応やフィードバックがあれば教えてください。

丹治さん

UI/UXに対する不満を指摘されたことはなく、非常に高評価です。特に、動作のスムーズさと「マニュアルなしでも直感的に使える」点が好評です。「画面を見れば使い方が分かる」と言われることが多く、当初掲げていた「SaaSとして直感的に使える」「つまずきをなくす」という目標がしっかり実現できたと感じています。

満足度分析 ブランドマップ インデックスツリー分析 時系列分析(購入金額) ブランドランキング
Coreka ホーム画面

―― 最後に、今後の目標やマイルストーンについてお聞かせください。

丹治さん

まだ道半ばで、ようやく6合目に差し掛かった感覚です。基本の構造は整いましたが、ヒアリングを重ねる中で足りない機能も明確になってきました。今後は世界観を維持しながらの機能の拡充が課題です。引き続きアイスリーデザインさんと連携しながら、より完成度の高いプロダクトへと進化させていきたいと考えています。

Case study事例